トップアイドル、乃木坂46のエースでありながら、さまざまな役を演じて女優としても成長を続けている白石麻衣。そんな白石が、観る者の笑いを誘うコメディエンヌとしての才能から、誰もが遭遇するであろう悩みに向き合うきめ細やかな演技まで、"女優"として芝居に向き合う気概と役に寄り添う真摯な姿勢を見せているのがドラマ「俺のスカート、どこ行った?」だ。
同作品は、古田新太演じるゲイで女装家の破天荒な高校教師・原田のぶおが生徒や同僚の教師たちに多大なる影響を与えて学校を変えていく学園ドラマで、白石は仕事に対してやる気をなくしている世界史の教師・里見萌を演じている。日テレプラスでは、11月16日(土)より全10話を一挙放送。
ストーリーは、現代の高校生ならでは悩みやそれぞれの立場からくる葛藤を、これまでの学園モノにはあまりない"特異な存在"の主人公が軽妙なコメディタッチで解決していくのだが、物語の芯には「コンプレックス」や「親子関係」「友人・恋人関係」「生と死」など誰もが共感できることをテーマにしており、けっして色物な作品ではない。
そんな作品中にコメディ要素が各所にちりばめられており、古田を筆頭に荒川良々、大倉孝二、シソンヌ・じろうらがコメディシーンをけん引する中、白石も負けてはいない。
例えば、のぶおの歓迎会で「ポコ〇ンはどうしているんですか?」と他の教師が聞きづらいことをずけずけとストレートに聞く"空気が読めない"感じや、「デカ〇ンかぁ~」と大声でうなるなど、アイドルのコンプライアンスを超えたせりふを平然と口にする"女優魂"がさく裂しており、普段のイメージとの大いなるギャップについ吹き出してしまう。一方で、白石の「アイドルとしてのイメージは二の次にして、1人の女優として全てを作品に注ぎ込んでいる」という気概が感じられ、清々しい潔さがある。
そんな白石が演じる里見がフィーチャーされる第6話では、それまで描かれなかった里見のバックボーンと胸の内が明かされる。仕事にも人生においても「仕方がない」「もういい」とあきらめて周りの状況に身を任せていた里見は、「お前のためだ」と言う父親主導の見合い結婚をして仕事も辞める流れに。だが、のぶおの言葉を受け、自分の意志を貫こうと結婚を破棄しようと頑張るが思ったようにはいかない。
自分ではどうしようもない状況に陥ることは誰にでもあるし、そんな時は傷付くのを恐れてついあきらめてしまう。そんな凡庸な人物を白石は1人の若い女性として演じ切っており、自分では状況を打破できない悔しさと苦悩をせりふが少ない中できめ細やかに表現している。中でも、のぶおに泣きながら胸の内を明かして助けを求める姿は、発言と本心を映した表情が乖離した"大人の切なさ"が凝縮されており観ていて胸が締め付けられてしまう。
第6話までのひょうひょうとしたやる気のない女性教師と、第6話での1人の女性の苦悩と弱さのギャップに触れ、両面から描かれる"1人の人間"を表現した"女優"白石の芝居の幅を堪能してみてほしい。地上波放送直後に「神々しすぎ」「女神力やべー」などSNSをザワつかせた白石のウエディングドレス姿も必見だ。
文=原田健
放送情報
俺のスカート、どこ行った?
放送日時:2019年11月16日(土) 11:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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