2021年4月3日から12日にかけて、東京・Bunkamuraシアターコクーンで舞台「フラガール -dance for smile-」が上演された。主演を務めたのは乃木坂46の樋口日奈。2006年に公開された映画「フラガール」は、「第80回キネマ旬報ベストテン」で第1位を獲得したほか、「第30回日本アカデミー賞」の最優秀作品賞を受賞。昭和40年の福島県いわき市の炭鉱町を舞台に、エネルギーが石炭から石油へ移行する状況下で力強く生きていく姿と常磐ハワイアンセンター設立までのエピソードを、少女たちの笑顔と涙で描いた感動作として多くの人たちに支持されている。2008年に福田沙紀主演で舞台化され、2019年に「フラガール -dance for smile-」と題して井上小百合(当時は乃木坂46のメンバー)主演で上演された。そして2019年版舞台の再演となる今回、井上小百合からバトンを受け取る形で樋口日奈が主演に起用された。
樋口は乃木坂46の1期生。乃木坂46のメンバーは舞台経験者が多く、樋口も2014年から2016にかけて上演された「学蘭歌劇『帝一の國』」シリーズをはじめ、「じょしらく弍〜時かけそば〜」(2016年)、「墓場、女子高生」(2016年)、「ドラえもん のび太とアニマル惑星」(2017年)、「恋する・(ハートマーク)ヴァンパイア」(2018年)、「乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』」(2018年)、「+GOLD FISH」(2019年)、「SHOW BOY」(2019年)、「ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-」(2019年)、「GIRLS REVUE」(2019年)と、ジャンルを超えて多数の舞台作品に出演してきた。2014年から続けて舞台に立ち、本来なら昨年も宅間孝行が作・演出を務める「仏の顔も笑うまで」で本格コメディに挑戦する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で残念ながら中止に。
そんな経緯もあって、今年上演された「フラガール -dance for smile-」は樋口自身はもちろん、樋口ファンにとっても待望の作品となった。久しぶりの舞台というだけでなく、舞台作品において"初の単独主演"ということも期待を高めることとなっていた。上演直前の3月の稽古場公開時に「この物語の中に出てくる"一山一家(いちざんいっか)"がすごく良い言葉だなと思いました。この言葉を大切にキャストの皆さんと団結して、少女たちの思いや強い力を観にきて下さった皆さんに届けられるように頑張りたいです」と意気込みを語っていた通り、主演(谷川紀美子役)として、座長として、本番でもひたむきに感情表現豊かな演技でしっかりとリード。2019年版に引き続き出演した有森也実(紀美子の母親役)と矢島舞美(フラダンスを指導する平山まどか先生役)のほか、新キャストの山内瑞葵(AKB48)と安田愛里(ラストアイドル)からも芝居を通してたくさんの刺激を受け、それが本番にもいい作用として働き、作品の完成度が高まっていった。福島弁のセリフに最初は苦戦したようだが、それも本番までにきっちりと仕上げてきた。
もともとダンスが得意な樋口。舞台を多く経験したことで演技力と表現力を高め、今年1月に放送されたドラマ「教場Ⅱ」でも高評価だった。今回の舞台では、総合演出を務めたフジテレビのトレンディドラマの生みの親・河毛俊作、プロデュースと構成演出を担当した演劇界の巨匠・岡村俊一のもと、これまでに培ってきた女優魂が見事に発揮されている。
本作は6月19日(土)にTBSチャンネル1で放送される。舞台初の単独主演作品で、女優・樋口日奈の魅力をたっぷりと味わってもらいたい。
文=田中隆信
放送情報
樋口日奈(乃木坂46)主演 舞台「フラガール - dance for smile -」
放送日時:2021年6月19日(土)20:30~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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