「BSスカパー!BAZOOKA!!! 第16回高校生RAP選手権 令和元年スペシャルトーナメント」が、7月24日に東京・新木場 STUDIO COASTで開催された。
同イベントは、若手ラッパーの日本一を決めるフリースタイルバトルの大会で、不良やネットラッパーなど個性ある高校生たちがそれぞれの生い立ちを全面にぶつけ、同じ土俵、同じルールでMCバトルを展開。
「令和」最初の大会となる今回は、第11回から15回大会までの優勝・準優勝者7名に審査員推薦枠1名を加えた8名と、東京・大阪で行われたオーディションを勝ち抜いた現役高校生MC8名の、現役組と卒業組16名がしのぎを削るスペシャルトーナメントを実施した。
(以下、ネタバレを含みます)
オープニングでは、レギュラーメンバーのtricot・中嶋イッキュウが「熱気がすごい感じ!」と観客の熱気に仰天し、野性爆弾・くっきーも「(前回出演した)去年の夏のお客さんより熱気があって、いいお客さんじゃないですか」とコメントし、会場をさらに盛り上げた。
一方、審査員のSIMI LAB・MARIAは「令和初ということで、歴史的なものが見られるんじゃないかと思っています」と期待を寄せ、同じく審査員でかつて大会に出場した経験のあるMC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻は「負けるとめちゃめちゃ悔しいんで、しっかりジャッジしたいと思います!」と経験者ならではの心境を語った。
■1回戦 Aブロック
8小節2ターンで行われる1回戦では、Aブロック第1試合に第12回大会王者のNovel Coreが登場。2度目の優勝を狙った前回大会で敗退してしまったが、前回の「観客の声を受けて、ラップを続けたいと思った」と振り返り、「とにかくマジで全員倒したい!」と意気込みを語った。
対するは、埼玉・川越出身の龍鬼。病のため大好きなサッカーとの決別を余儀なくされるも、HIPHOPに救われたという龍鬼は、Novel Coreについて「一番望んでいた相手。多分負けない!」と闘志を燃やす。
先攻後攻を決めるじゃんけんでは、龍鬼が勝ち後攻を選択。初戦から激しいRAPバトルを繰り広げるも、審査員全員がNovel Coreの札を上げ、Novel Coreが勝利した。
審査員長の漢 a.k.a. GAMIは「1ターン目は競っていて、どちらが勝つが分からなかった」と接戦だったことを明かし、審査員のICEBAHN・FORKも「("龍鬼"が)2ターン目が決まり切らなかった」と龍鬼の敗因を語った。
Aブロック第2試合は、前回大会準優勝者・八咫烏(藤KooSから改名)と、2大会ぶりの参戦となるREGGAE×HIPHOPのハイブリッドフロウが持ち味のRAGAが対決。
じゃんけんに勝ったRAGAが先攻を選びバトルスタート。早口のラップで攻めるRAGAだったが、落ち着いたラップで応戦する八咫烏に惜しくも敗退。
審査員のCreepy Nuts・R-指定は「見ててオモロかった。RAGAはゆっくりのビートに倍のスピードのレゲエのフロウを乗せていたけど、八咫烏が速すぎて聞き取りにくいところを突いていた」と戦評を。
Aブロック第3試合は、第14回大会王者で前回2連覇を目指すもまさかの初戦敗退となってしまった"HARDY"が登場。涙を飲んだ前回で「ラッパーとしてのあり方を再認識した」と語り、「後輩が間違った方向に行かないように、バトルで教育する!」と意気込む。
一方、HIPHOP界ではまだ無名な地元、埼玉・北本の存在をアゲるために参戦したC'stleは「本当、かますだけ。やってやるぞって感じ」とみなぎる闘志を語った。
じゃんけんに勝ち後攻を選択したHARDYが地力の強さで勝利。
MARIAは「C'stleのラップは普通に渋かった」と称えながらも、「でも、HARDYのワードセンスが良くてカッコ良過ぎた」とHARDYの勝因を明かした。FORKも「C'stleのラップはカッコ良かった。でも、ハネた瞬間はHARDYが多かった」と分析。
Aブロック第4試合は、初出場の前回大会でベスト4まで勝ち上がり大会を大いに盛り上げた韻マンが審査員推薦枠としてステージに上がる。
対する滋賀・大津出身のいろはは「大物喰いをして滋賀県熱いってところを見せたい!」と鼻息を荒げる。
じゃんけんの結果、勝った韻マンが後攻を選んでバトル開始。言葉のチョイスで魅せるいろはに対し、研ぎ澄ました"韻"という剣を振るう韻マン。勝負は韻マンが5対0で勝利を収めた。
R-指定は「いろはは言葉の使い方が面白かった。でも、韻マンのなんとしてでも韻を踏みにいこうという姿勢が上回ったと思う」と振り返り、"韻"に定評のあるFORKは韻マンの韻について「踏み方すらも新しいスタイルなのかな」と新しい可能性を感じたことを明かした。
■1回戦 Bブロック
Bブロック第1試合では、第13回大会王者のG-HOPEと千葉・松戸出身のZAPが対戦。
じゃんけんに勝ったG-HOPEが後攻で始まったバトルは、ZAPがG-HOPEの音源を、G-HOPEがZAPの体形をディスり合い激しい火花を散らす展開に。
審査員長の漢は「デブってワードが出てたんで」と自虐的なジョークを交えながら延長戦を求める札を上げ、R-指定も「"ZAP"はバチバチかましてたし、G-HOPEも良かった。お互いもうちょっと良いとこ出せそう」と延長戦に期待を寄せる。
先攻と後攻が入れ替わる延長戦を経て、G-HOPEが3対2の票数で王者の面目を保った。
G-HOPEの札を上げた漢は「ZAPはところどころでスキルを持っていることが分かる。でも、"G-HOPE"の方が実力が上だった」とコメント。一方、ZAPの札を上げたMARIAは「断然、ZAP!」と明かし、拮抗したバトルだったことを示した。
Bブロック第2試合は、初出場した第14回大会で準優勝し卓越したステージングで観客を虜にしたRed Eyeと、第15回大会で熱く力強いラップを披露し大番狂わせを演じたベルが対戦。
Red Eyeの後攻で始まったバトルは、5対0という結果でRed Eyeに軍配が上がった。
票数こそ5対0だが、R-指定は「(判定が)めっちゃムズかった!もう(審査員それぞれの)好みかなって思う。ラップというより喧嘩みたいなベルに対し、Red Eyeは人の歌をサンプリングして盛り上げられるし即興ができることも見せて引き出しが多かった」と明かし、FORKは「すごい良い勝負でした!」と2人の名勝負を絶賛した。
Bブロック第3試合は、圧倒的なスキルとバイブスで第11回大会を制した神奈川・横浜出身の9forと、東京・中野出身のRole meが対決。
じゃんけんで勝ち後攻を選択した9forが、5対0で快勝。MCニガリ a.k.a 赤い稲妻は「9forが超声出てた!Role meもいい感じだったけど、が声が出ていて良かった」と声量に闘志が乗っていた9forを称賛した。
1回戦の最終戦となるBブロック第4試合は、"00(ゼロゼロ)世代最強"と謳われ、歴代最高レベルとも称された第15回大会の覇者、百足が登場。前回大会で優勝しファンも増えたが否定的な声も寄せられることを明かした百足は「2連覇獲ったら文句言うやつはいないだろう」と今大会への意気込みを告白。
対するは、ライブに楽曲制作とラッパーとして本格的に活動する実力派MC・S-kaine。S-kaineは百足を「"ザ・アイドル"顔が良いだけ」と断じ、燃える闘志を表した。
百足の先攻で始まったバトルは、優劣つけがたい接戦に。バトル後、観客から「もう一回!」と延長戦を望む声が上がり、その声に後押しされるように漢が「もう一度見ないと判断しづらい」と延長戦を決定。
先攻後攻が入れ替わった延長戦では、"S-kaine"4、"百足"1という結果に。R-指定は「固いライムで攻めていた百足に対して、S-kaineは数字で来たのを数字で返したり、『上手い!』ってうなるラインがあってツボを突いていた。どっちも良かったんだけど、このバトルの音楽にマッチしていたのはS-kaineだったかなと思う」と解説した。
前大会王者が初戦敗退という大番狂わせもあった波乱の1回戦を経て、2回戦に駒を進めた8人が、2回戦以降さらなる熱いバトルを繰り広げる!
文=原田健
放送情報
BSスカパー!BAZOOKA!!!第16回高校生RAP選手権 令和元年スペシャルトーナメント
放送日時:2019年8月12日(月)21:00~
チャンネル:BSスカパー!
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
※LINE LIVEの高校生RAP選手権オフィシャルアカウントでバトル動
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