ザ・ビートルズとザ・ローリングストーンズ。英国から誕生したこの2つのロックバンドがいなければ、世界のロックの歴史は変わっていたかもしれない。日本でも子どもから大人まで世代を超えて今も楽曲が愛されているビートルズ。平均年齢が74,5才の長寿バンドとなったいまも現役バリバリのロックバンドとして活躍し、影響を与え続けているストーンズ。
当初はどちらもやんちゃなロックキッズだったであろう2つのバンドがなにかにつけて比較されるようになり、歩んだ道は違えど、ロックの踏み絵のように避けては通れないお手本のバンドとなっていったことは感慨深い。そんな彼らの気になる関係性とは?
■優等生VS不良の図式で語られていたビートルズとストーンズ
メロディも歌詞も口ずさみやすいキャッチーなロックンロールや普遍的なメロディが光るバラードでヒットを飛ばしまくっていたビートルズと強烈なギターリフで始まり、"満足できねえ"と歌う代表曲「サティスファクション」で1965年にブレイクしたストーンズ。
1966年に初来日したビートルズが羽田空港にはっぴを着て笑顔で降り立ち、日本武道館でロックコンサートを行うことがタブー視されていた時代に大歓迎を受けたのに対し、1973年に公演が予定されていたストーンズはメンバーの過去のドラッグ問題が理由で入国が拒否され、公演はキャンセルに(来日公演が実現したのは1990年)。
演奏が女子たちの歓声でかき消されるほどアイドル的な人気も獲得していたビートルズ。それに対し、ストーンズは男子にも熱狂的に支持されるものの、リーダー的存在であったブライアン・ジョーンズが27才の若さで1969年に亡くなるなどなにかと影がつきまとった。当時の日本の若者の間でも「ビートルズ派かストーンズ派か」という会話が普通に交わされていたぐらい、真実は置いておいて優等生と悪ガキのイメージで語られていたのである。
■2つのバンドの関係は本当は良きライバル?
バチバチに火花を散らしていたかと思われていた両バンドだが、実は初期から交流があった。デビューしたばかりのストーンズにジョン・レノンとポール・マッカートニーが曲を提供したり、ビートルズの「愛こそはすべて」にミック・ジャガーとキース・リチャーズがバックコーラスで参加したり、ストーンズが制作し、長いことお蔵入りになっていた映像作品『ロックンロール・サーカス』にジョン・レノンが出演したりと、実は仲が良くお互いに認め合っていたのではないかと思われる。
ビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)のジャケットに映っている人形が着ているTシャツの胸に"Welcom The Rolling Stones"の文字がプリントされていること、同年にストーンズがリリースしたアルバム『サタニック・マジェスティーズ』のジャケットにビートルズの4人の顔がコラージュされているのもファンには有名なエピソードだ。そんな両バンドが比較されまくっていた時代をマネージャーのインタビュー映像や貴重な画像をまじえて追っていく映画が『ビートルズ VS ストーンズ』。歴史を変えたスーパーバンドの"あの頃"に触れられるドキュメンタリー作品となっている。
文=山本弘子
放送情報
ビートルズ VS ストーンズ
放送日時:2019年11月9日(金) 10:45~
チャンネル:スターチャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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