継承と更新から生まれるWANDSの新たな魅力!

上原大史(Vo)
上原大史(Vo)

19年間の活動休止期間を経て、2019年に再始動を果たしたWANDS。その名前を聞けば、たとえ熱心なファンでなくとも、彼らが90年代のJ-POP史に刻んだ名曲の数々を思い浮かべることができるだろう。中山美穂とのコラボレーションによる「世界中の誰よりきっと」や「愛を語るより口づけをかわそう」「もっと強く抱きしめたなら」。90年代のヒットチャートを席巻した楽曲たちは、辣腕のプレイヤーによる盤石のバンドサウンドを基盤としながら、キャッチーなメロディが魅力で、いまなお世代を超えて色褪せることなく歌い継がれている。

WANDSは時期ごとにメンバーチェンジを重ねながら、「WANDS」という名前、いわば、その器を継承するかたちで活動を続けてきたバンドだ。これは日本のバンドでは非常に珍しい形態だろう。なかでも、90年代に多くのヒット曲を連発したのは、上杉昇(Vo)、柴崎浩(Gt)、木村真也(Key)の3人を擁した第2期と言われる時期だった。1992年から1996年までの4年間にわたり、リリースした5枚のシングルがミリオンヒットを記録。一躍、国民的バンドの地位を築き上げていく。その後、第3期として和久二郎(Vo)、杉元一生(Gt)、木村真也(Key)で活動開始。しかし2000年、解体(解散)を発表。90年代の終わりと共にシーンから姿を消したWANDSは、令和に入り、柴崎、木村に加えて、新ボーカリストである上原大史(Vo)を迎えた第5期WANDSとして新たなスタートを切ることになった。バンドの3代目ボーカリストである上原は、かつてWANDSが手がけた「SLAM DUNK」の主題歌「世界が終るまでは...」を聴いて育った世代だという。新しい感性も呑み込んだ現在のWANDSは、多くのリスナーに愛されてきた過去曲を継承しながら、「あの頃のWANDS」を更新する覚悟をもって精力的な活動を行なっている。

継承と更新。そんな第5期WANDSの在り方を体現したのが、昨年10月28日にリリースされた最新アルバム『BURN THE SECRET』だろう。WANDS節が炸裂するキャッチーなサビが現代的な打ち込みと融合した「David Bowieのように」をはじめ、艶やかなジャズロック「真っ赤なLip」など、WANDSのイメージを大胆にアップデートする楽曲群は、WANDS再始動の意義を、どんな言葉よりも雄弁に証明するものばかりだ。新曲の作詞はボーカルの上原が手がけ、その歌詞に人間味が溢れているのも印象的だ。アルバムの大半は柴崎が作曲を手がけるが、唯一上原が作曲も手がけた「アイリメンバーU」の素朴な手触りはアルバムでも新鮮な存在感を放っている。90年代のWANDSを知り尽くし、解散後もプレイヤーとしての進化を遂げた柴崎と木村に加えて、いい意味の「異分子」として加わった上原の存在。それが、いまのWANDSというバンドを予測不能の面白い存在に押し上げているように思う。

そんな第5期WANDSの魅力はライブにも表れている。2020年10月に東名阪ツアーを開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により中止を余儀なくされ、11月に初の配信ライブ「WANDS Streaming Live~BURN THE SECRET~」を開催した。そのステージではアルバムの新曲を全て演奏したほか、過去のヒット曲はもちろん、「星のない空の下で」や「天使になんてなれなかった」といった90年代からのWANDSファンにも人気のナンバーをメドレーで披露。WANDSの「これまで」と「いま」をつなぐライブだった。なかでもハードロックなアルバムの新曲「Burning Free」で見せる切れ味鋭いグルーヴと上原の荒々しく衝動的な歌唱は圧巻。色気とスター性を兼ね備えた上原のボーカリストとしての真価はライブでこそ強く発揮されていた。ライブ後のインタビューでは、柴崎が「まだこのメンバーでライブをやり慣れていない」とも語っているが、いよいよ本格的なスタートを切ったWANDSは、ここからさらに進化を続けていくだろう。彼らの新たな歩みは始まったばかりだ。

文=秦理絵

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放送情報

WANDS Streaming Live ~BURN THE SECRET~ Special Edition
放送日時:2021年3月13日(土)14:30~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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