OLDCODEX『they go, Where?』嘘のないライブ

ボーカルのTa_2(タツ)とペインターのYORKE.(ヨーク)による異色のロックバンドOLDCODEX(オルドコデックス)が、5thアルバム『they go, Where?』を引っ提げてのツアー『OLDCODEX Tour 2017 "they go, Where?"』を開催。ここでは、10月8日に埼玉県 戸田市文化会館で行われたライブの様子をレポートする。

音楽と美術の融合

OLDCODEXのライブはいい意味で異様だ。会場に入ると、まずは巨大なセットに目を奪われる。床から天井までを埋め尽くすペイント作品はYORKE.によるもの。筆や刷毛、それらを使う手などがモチーフとなっている。非常に細かい作りだが、パンクとポップの両方を感じられ、これを見ているだけであっという間に時間が経ってしまう。ドラムやマイクスタンドがペイント作品に囲まれている様は、まるで美術館の中でライブが行われるかのよう。

Ta_2、YORKE.の二人がステージに現れると、オーディエンスの声量が一気にアップ。耳をつんざくばかりの歓声が響き渡る。演奏が始まり、Ta_2が歌い出すと、YORKE.がステージ上のキャンバスにペイントを始める。そう、ステージ上の巨大なセットは、ライブが進むにつれて刻々と変化するのだ。

昨今はデジタル技術を用いて映像と音楽をシンクロさせるバンドが増えてきたが、OLDCODEXはアナログで直接的なペインティングにこだわる。その結果、どのライブにおいても微妙に異なるペイント作品が出来上がる。すべてのライブは一回限りの作品だが、OLDCODEXほど一回性を感じさせるバンドも珍しいだろう。

「一体感」に嘘がないライブ

アルバム『they go, Where?』の収録曲を中心に、本ツアーで久しぶりに披露する『カタルリズム』『#4』などの人気曲も合わせ、フロアを大いに盛り上げる。オーディエンスは拳を上げ、声の限りに叫ぶ。Ta_2とYORKE.はステージからフロアへ降り、オーディエンスと同じ目線で歌う。さらに、OLDCODEXのライブではおなじみだが、オーディエンスをステージに上げて一緒に歌う場面もあり、ファンとの一体感を強く印象付けた。

"ライブはバンドとファンが一緒に作り上げるもの"とはよく使われる表現だが、どこか嘘くさい気がしないだろうか。しかし、オーディエンスにマイクを預けてフレーズを丸々歌わせるなど、OLDCODEXのライブは、言葉通り、バンドとファンが手を取り合うことによって成立する。そこには真の意味での"一体感"がある。つまり、OLDCODEXのライブにはまったく嘘がないのだ。

「......たぶん、俺たち終わりたくないんだと思う」

アンコールでは異例のロングトーク。Ta_2のマイクへのこだわりやYORKE.の絵の話など、パフォーマンス中の激しさとはギャップのある和やかな雰囲気で話し込む。

「......たぶん、俺たち終わりたくないんだと思う」とYORKE.が本音を明かすと、Ta_2も「今日めちゃくちゃ楽しいんだよね。たまにはこうやって話すのもいいなって」と応え、フロアからは拍手が起こった。

ラストは『smiling』。この曲は、"繋いだ手をまだ離さないから"という歌詞で始まり、"その過ちも古い写本に書き足して 忘れればいい""はしゃいだまま弱音も捨てて行くんだ"という歌詞を経て、"笑っていて"で終わる。この部分に、アルバムやツアーの本質が詰まっている気がする。

苦しい時や悲しい時、モヤモヤする時は、OLDCODEXの音楽を聴いて「過ちも古い写本に書き足して忘れればいい」。そしてライブに行って「はしゃいだまま弱音も捨て」ればいい。OLDCODEXは、「繋いだ手をまだ離さない」でいてくれるから。

※この記事はライブレポートのため、実際の放送内容とは異なります。

Writer:山田宗太朗

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

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放送情報

OLDCODEX Tour 2017 “they go, Where?”

放送日時:2017年12月16日(土)20:00~

チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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