クリストファー・リーヴがタイトルロールを演じた「スーパーマン」シリーズ(1978年〜1987年)が一挙放送。現在のアメコミ映画にも大きな影響を与えたという作品の魅力について、杉山すぴ豊さんに解説してもらった。
アメコミ映画が全盛を迎えた近年、1978年版『スーパーマン』の再評価の機運が高まっている。
「アメコミの歴史はスーパーマンから始まりましたが、アメコミ映画もこの「スーパーマン」から始まったといっても過言ではありません。下手すると希薄になりがちなアメコミという題材できちんと映画を作った最初の例だったと思いますし、『ゴッドファーザー』で知られるマリオ・プーゾが脚本を手がけていたり、マーロン・ブランドやジーン・ハックマンといった名優を起用したり...と、今のアメコミ映画のメソッドに通じるところがたくさんあります」
本作が画期的だったのは「スーパーマンのオリジン(起源)をしっかりと描いたところにある」と杉山さんは指摘する。
「スーパーマンというキャラクター自体は認知されていましたが、惑星クリプトンから地球にやって来て、なぜヒーローになったのか、知っている人が少なかったそのプロセスをすごく丁寧に描いたことで、彼がヒーローとして活躍する理由がはっきりしました。この点は今見てもすごくよくできていたと思います。あと、『あなたも空を翔べる!』というキャッチコピーも有名ですが、監督のリチャード・ドナーは本作の成功の鍵は空を飛ぶシーンがどれだけうまく撮れるかに懸かっていたと言います。当時のスペシャルエフェクトで工夫を凝らした飛行シーンはどれも素晴らしいので、ぜひ見直す際に注目してほしいです」
1978年〜1987年のシリーズ4本からは、後に語り継がれる名シーンがいくつも誕生した。
「『1』はいい意味で"人を救うヒーロー"として描かれていて、特にヘリコプターを救出する場面でテーマ曲がかかるところは、映画史上でも屈指の盛り上がりを見せるシーンですね。逆に『2』は特撮が派手に盛り込まれたスーパーマンとヴィランの大バトルが見どころです。『3』で個人的に好きなのは自分のダークサイドと戦う"スーパーマンvsスーパーマン"のシーン。『4』でスーパーマンが核兵器廃絶を訴えるスピーチは、時代を超えて言及されています。今は当然のように年に何本も公開されるような状況ですが、この『スーパーマン』シリーズの成功がなければ、アメコミ映画の在り方も違う形になっていたはずなので、再評価に値するシリーズだと改めて思います」
すぎやま・すぴ・ゆたか●アメコミ系映画ライターとして、「SCREEN」などの映画雑誌・パンフにコラムを執筆。東京コミコンやアメコミ映画の宣伝も手がける。
取材・文=山崎ヒロト
放送情報
スーパーマン(1978年)
放送日時:4月7日(金)13:30~
放送チャンネル:ムービープラス
スーパーマンII 冒険編
放送日時:4月14日(金)13:30~
放送チャンネル:ムービープラス
スーパーマンIII 電子の要塞
放送日時:4月21日(金)13:30~
放送チャンネル:ムービープラス
スーパーマンIV 最強の敵
放送日時:4月28日(金)13:30~
放送チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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