日常に潜む、どす黒くサディスティックな闇の世界 入門編にしてリンチワールド全開。デヴィッド・リンチの代表作「ブルーベルベット」

不法侵入や覗き見、性的虐待といった倒錯行為が物議を醸したデヴィッド・リンチの代表作「ブルーベルベット」
不法侵入や覗き見、性的虐待といった倒錯行為が物議を醸したデヴィッド・リンチの代表作「ブルーベルベット」

真っ青な空をバックに、白さが眩しいピケットフェンスに真紅のバラ。消防士の笑顔が印象的な特殊車両がゆっくりと画面を横切り、登校中の子どもたちは秩序よく横断歩道を渡る。まるで絵葉書のように町の平穏な表情を映し出し、「ブルーベルベット」(1986年)は、その名を冠した曲に合わせて幕を開ける。

■異才デヴィッド・リンチの意匠が全開する犯罪サスペンス

アメリカ北西部の伐採場の町、ノースカロライナ州ランバートンを舞台に、一人の青年が犯罪に巻き込まれていく展開をスリリングに描いた同作は、異才デヴィッド・リンチ監督(「イレイザーヘッド」、「エレファント・マン」)の持ち味である幻惑的な視覚描写と奇異なドラマとの融合を一つのスタンダードにした。過去数十年で最も影響力を持つ、80年代アメリカ映画を代表するマスターピースの一本だ。

主人公のジェフリーを演じるのは「ツイン・ピークス」などリンチ作品でおなじみのカイル・マクラクラン
主人公のジェフリーを演じるのは「ツイン・ピークス」などリンチ作品でおなじみのカイル・マクラクラン

⒞ 1986 STUDIOCANAL IMAGE. All Rights Reserved

病に倒れた父を見舞った帰り、大学生ジェフリー(カイル・マクラクラン)は、空き地で切断された人の耳を見つけてしまう。それをウィリアムズ刑事(ジョージ・ディッカーソン)のところへ持っていくと、刑事の娘サンディ(ローラ・ダーン)が彼の前に現れ、その耳がナイトクラブの歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)に関係していることを吹聴する。

好奇心に駆られたジェフリーは、身分を偽ってドロシーのアパートを訪れ、出来心からスペアキーを盗んで帰ってしまう。その後、ジェフリーはドロシーのステージを見て、彼女が「ブルーベルベット」を歌う姿に気を奪われ、再びアパートへと忍び込む。だがドロシーの予期せぬ帰宅によって、クローゼットに身を隠した彼が目にしたのは、異様極まる光景だった――。

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放送情報

ブルーベルベット
放送日時:2021年10月4日(月)23:30~

チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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