日本でも絶大な人気を誇り、音楽チャートを席巻した世界的グループ・EXO。ビジュアルはもちろん歌唱力とダンススキルの高さで唯一無二の魅力を放つが、各メンバーは派生ユニットやソロでも活動の幅を広げ、その輝きに磨きをかけている。

EXOのメインボーカルの一人を担うのが、D.O.(ディオ)ことド・ギョンス。ギョンスはアーティストだけでなく俳優としても活動の初期から新人賞や人気賞に輝き、「リーガル・クレイジー真剣勝負」(2022年)では「2022 KBS演技大賞」最優秀男優賞を獲得するなど、その実力は広く知られる。

そんなギョンスの除隊後のスクリーン復帰作となった作品が、「THE MOON」(2023年)だ。4月25日(金)にＷＯＷＯＷシネマで放送される本作は、世界的に大ヒットした「神と共に」シリーズを手掛けたキム・ヨンファ監督による近未来SFサスペンス大作。同シリーズにもキャスティングされていたギョンスは、本作でヨンファ監督と再びタッグを組んでおり、彼の俳優としての確かな実力を見込んでのオファーと言えるだろう。

本作でギョンスが演じるのは、新人宇宙飛行士ソヌ。月面の有人探査を叶えるべく、ソヌら3人のクルーを乗せた韓国の有人ロケット・ウリ号は宇宙へ旅立つ。しかし、月周回軌道への進入を目前にして太陽風の影響で地球との通信が途絶え、修理のため船外作業中だったクルー2人が事故で命を落としてしまう。生き残ったソヌを救出するため、5年前の有人ロケット・ナレ号爆発事故の責任を取って組織を去った当時の責任者ジェグクが呼び戻される...。

ただ一人宇宙に取り残されてしまったソヌというキャラクターは、宇宙服の衣装を着て宇宙空間にいるがごとく演じなければならない難役だ。ギョンスは極限の状況下での悲しみや恐怖、孤独と閉塞感を繊細に表現。失った仲間の遺志を継ぐことを決断し、月探査ミッションを成功させて月面からたった一人で帰還するため奮闘する。

凛々しい表情に、5年前のナレ号の事故が原因で自ら命を絶った父への思いや計画の総責任者だったジェグクへの複雑な感情も覗かせる。その迫真の演技を見ていると、息苦しくなるほどリアルな世界観に没入させられる。ダンスや歌で世界を魅了する、身体能力と表現力の高さが、演技にも生かされていた。