"シュワちゃん"ことA・シュワルツェネッガーは『ターミネーター』全作品で「I'll be back」って言ってる?

「ターミネーター2」
「ターミネーター2」

「I'll be back」といえば、いわずと知れたアーノルド・シュワルツェネッガーの代表作『ターミネーター』に登場する名セリフ。このセリフが登場してから30年以上の歳月が過ぎたが、今でも多くの人に愛されている。

『タイタニック』『アバター』などで知られるジェームズ・キャメロン監督がメガホンをとった記念すべきシリーズ第1作『ターミネーター』が公開されたのは1984年のこと。当時はほぼ無名のキャメロン監督、そして『コナン・ザ・グレート』というヒット作はあったものの、ドイツ語なまりが強いシュワルツェネッガーが主演ということで、低予算映画として制作されることを余儀なくされた。だが、物語の面白さ、無機質な演技で恐怖をもたらしたシュワルツェネッガーの存在感などもあり、劇場では大ヒットを記録。その後も、レンタルビデオ全盛時代だったという追い風もあり、多くのファンに愛される作品となった。

「ターミネーター」

(C) 1984 CINEMA '84, A GREENBERG BROTHERS PARTNERSHIP. All Rights Reserved

第1作で「I'll be back」が登場するのは警察署でのシーンだ。ヒロインのサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)を暗殺するため、未来からやって来たターミネーター(シュワルツェネッガー)が、警察署で「サラ・コナーはどこだ?」と尋ねると、警察官は「供述にしばらくかかるんで、そちらのベンチで待ってて」と返答。ターミネーターは大人しく「I'll be back(また来る)」と言って警察署を後にするが、しばらくして警察署に車ごと突っ込んできて、そこから銃撃戦が始まるというシーンである。

実は撮影当時、シュワルツェネッガーは「I'll be back」と言うことに抵抗があったという。「I'll be back」というセリフが女性的なのではないか、そして「I will be back」というセリフに変更したら、彼のドイツ語なまりの英語も相まってサイボーグ的に聞こえるのではないかということから、キャメロン監督に提案したこともあったというが、それは却下された。しかし結果として、そのセリフが映画史を代表する名セリフとなったのだ。

キャメロン監督はDVDに収録されたインタビューの中で「『I'll be back』というセリフはウケを狙ったものじゃない。だが2回目に観た観客はこのセリフを聞いてニヤリとするだろう。この作品は何度でも鑑賞に堪えるものなんだ。もちろん初めて観る客も『I'll be back』という意味をそれぞれに推測して楽しめるんだ」と語っている。

「ターミネーター2」

(C) 1991 / STUDIOCANAL - All Rights Reserved

だが、1991年公開の続編『ターミネーター2』では、「I'll be back」というセリフも違った意味を持つようになる。同作では、軍事用コンピューターを手掛けるサイバーダイン社に侵入するも、催涙弾を撃ち込んでくる警官たちに囲まれたターミネーターが、主人公たちに「Stay here. I'll be back」と呼び掛けて戦いに身を投じるシーンがある。かつて主人公に襲い掛かる悪役として描かれていたターミネーターが、この続編では主人公たちを守るヒーローとして再登場する。「I'll be back」というセリフ1つで、その立場の違いを見事に言い表しているという訳だ。ちなみに勘違いしている人もいるが、クライマックスでターミネーターが溶鉱炉に入っていくシーンでは、親指を突き立てるだけで特に言葉は発していない。

「ターミネーター3」

(C)2003 IMF3

「ターミネーター4」

(C) 2009 T Asset Acquisition Company, LLC. All Rights Reserved.

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」

(C) 2018 Paramount Pictures.

なお、2003年公開の『ターミネーター3』では、女性ターミネーターが登場することから「She'll be back」というセリフに。また、2009年公開の『ターミネーター4』では、主人公ジョン・コナーを演じるクリスチャン・ベイルが「I'll be back」と言うなど、変則的な形で登場している。そして、2015年公開の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』では、12年ぶりにシリーズ主演を果たしたシュワルツェネッガーが、ヘリコプターでの空中戦のさなか、「I'll be back」と言いながら飛び降りるシーンがある。その使われ方の違いを見比べてみても面白い。

そして現在、2019年秋に公開予定となる最新作が制作されている。シュワルツェネッガーはもちろんのこと、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンの出演もアナウンスされている。今度はどのような物語が展開されるのだろうか。そして「I'll be back」というセリフは織り込まれるのかにも期待したい。

文=壬生智裕

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放送情報

特集:ターミネーター全

放送日時:2018年9月1日(土)10:00~

※放送作品
「ターミネーター [PG12]」「ターミネーター2」「ターミネーター3」「ターミネーター4」「ターミネーター:新起動/ジェニシス」
チャンネル:ザ・シネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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