1993年1月20日、63歳でこの世を去った女優、オードリー・ヘプバーン。晩年のボランティア活動などで見せた慈愛にあふれる笑顔も記憶に刻まれている一方で、"永遠の妖精"として真っ先に思い浮かぶのは、1953年のハリウッドデビュー作『ローマの休日』のアン王女という人が多いだろう。彼女の死後、四半世紀が経ったとは思えないほど、鮮烈なイメージは今なお健在だ。
そんなオードリー・ヘプバーンにとって、2019年は生誕90年となる"アニバーサリーイヤー"。スクリーンに刻まれたパーフェクト・ビューティーな写真と共に、色褪せることのない数々の"伝説"をひも解いてみよう。
それまで母国イギリスで女優として活動していたオードリーが、カメラテストを経て、『ローマの休日』の主演に抜擢されたのは23歳の時。この美貌であればテストの合格は当然と思いきや、1950年代当時は、マリリン・モンローやエリザベス・テイラーら、グラマラスボディを持つセクシーな女優たちの人気絶頂期。その中で、前髪を短くカットし、サイドをカールした"ヘプバーンカット"で、ローマの街中を颯爽と歩きまわるアン王女は、画期的なルックだった。その唯一無二の存在感を証明するかのように、1954年のアカデミー賞主演女優賞を早々と受賞するなど、鮮烈なデビューを飾った。
オードリーを語るうえで欠かせないのが、ジバンシィとの数々のコラボレーションだ。オスカー受賞直後の1954年の映画『麗しのサブリナ』や1957年の『パリの恋人』では、彼女の細いウエストを強調したドレスなどを次々と披露し、ファッション界への影響力を高めていく。そして30代に入り、女優としての絶頂期で主演した1961年の映画『ティファニーで朝食を』で、ジバンシィの最も有名なブラックドレスを着用したことで、ファッションアイコンとしても頂点に達することになる。
ニューヨーク五番街にあるティファニー本店のウィンドウを眺めながら、パンを立ったまま食べる冒頭のシーンはあまりにも有名だが、演じたホリー役は、本人のイメージとは真逆のパーティーガール。彼女のフィルモグラフィの中でも異質な作品ながら、セリフをしゃべり続けながら身支度を整えていくシークエンスは実に美しい!自らも大好きな作品と明かしているように、"大人可愛い"の最高峰ともいえるオードリーの姿が堪能できる。
女優として円熟味を増す40代以降。ヒット作を連発していたオードリーが、『暗くなるまで待って』から実に9年ぶりに女優復帰を果たしたのが、1976年の映画『ロビンとマリアン』。当時46歳の彼女は、名優ショーン・コネリー扮する昔の恋人、ロビン・フッドと再会する尼僧マリアン役を演じ、年齢を重ねた女性ならではの哀愁を漂わせている。
59歳で出演した最後の映画『オールウェイズ』(1989年)では、死者を現世に戻す天使役に挑んだオードリー。衣装デザイナーに頼らず、真っ白なセーターとパンツを自らチョイスし、撮影に臨んだといわれているが、慈愛にあふれた佇まいで死者に寄り添う姿は、晩年の彼女にしか演じられないハマリ役。本作の出演料をユニセフに寄付したというエピソードまで、オードリー・ヘプバーンらし過ぎる"伝説"として人々の記憶に刻まれている。
スターチャンネルでは、1月12日(土)より毎週(土)21:00より、オードリー・ヘプバーンの出演作品を総力特集。さらに毎月テーマ別にセレクトした特集を放送する。先に挙げた彼女の20~50代のそれぞれの代表作は、1月の特集「ヒストリー・オブ・オードリー」の中で一挙放送される。20世紀を象徴する女優として、ファッションアイコンとして、知らずいるには惜しい名作ばかり。アニバーサリーイヤーだからこそ実現できたこの一挙放送をお見逃しなく。
文=HOMINIS編集部
放送情報
生誕90周年特別企画 麗しのオードリー
放送日時:2019年1月12日(土)21:00~
※毎週(土)21:00~
関連特集「ヒストリー・オブ・オードリー」(全4作品)
放送日時:2019年1月14日(月)14:30~(一挙放送)
チャンネル:スターチャンネル2
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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