今、韓国ではファンタジーにミステリーとロマンスの要素を盛り込んだドラマが大人気。人間以外の者が主人公のドラマも増えていて、最近では元祖韓流スターのソン・スンホンが『ブラック(原題)』で死神役を演じて話題となった。最近の人気ファンタジー作品を振り返りつつ、生と死をめぐる緊張感に満ちた新感覚ミステリードラマの見どころを紹介する。
主人公は人間ではない、異形の者が増加中
ファンタジードラマといえばタイムスリップものや、魂の入れ替わりを描いたものがこれまで主流だったが、最近では主人公が人間ではない異形の者、という設定が目立っている。2013年、イ・スンギが人間と神獣の間に生まれた若者を演じた『九家の書〜千年に一度の恋〜』に続き、キム・スヒョン扮する宇宙人の恋を描いた『星から来たあなた』が大ヒットして以降、この傾向が強まってきた。
その後も、イ・ジョンソクがマンガの人物に扮した『W-君と僕の世界-』(2016)、コン・ユが永遠の命をもつ鬼に、イ・ドンウクが死神に扮して空前のブームとなった『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』(2016)、ナム・ジュヒョクが水神役を演じた『ハベクの新婦』(2017)などが次々に作られている。また、一見普通だが実は怪力という女性がヒロインの『力の強い女ト・ボンスン(原題)』(2017)も人気となった。
ソン・スンホンが死神役で新境地を開拓
こうしたブームの中、1996年にデビューし、20年以上のキャリアをもつ人気スターのソン・スンホンが最新作『ブラック(原題)』で死神ブラックに扮した。一度は死んだ新米刑事ムガンの体に憑依した死神が、死を予見する能力のある女性ハラムとともに、人間の生死を左右する事件を追う。ソン・スンホンはさえないムガンと、クールでありながらトボケた面をもつブラックの二役を演じて、新境地を拓いたと高く評価された。
また、ブラックとハラムが自身や周囲の人々の隠された過去や謎に遭遇しながら、次第に心を通わせていく過程も大きな見どころ。Ara扮するハラムにブラックがときめきを覚え、彼女の好きな芸能人に嫉妬したり、一緒に遊園地に出かけて喜んだりする姿が微笑ましい。基本はミステリアスなスリラーではあるが、甘いシーンやコミカルな場面も随所に描かれ、メリハリのある物語が楽しめる。
監督は、犯罪ドラマの秀作と評された『ボイス〜112の奇跡〜』(2017)のキム・ホンソン。今回もダークな世界観をベースに、事件の背景にある人間を丁寧に描いた演出が光る。脚本を手がけたのは『イルジメ(一枝梅)』(2008)で知られるチェ・ラン。本作は『神様がくれた14日間』(2014)以来の作品だが、アメリカでリメイクされた前作に劣らない緻密なストーリー構成と予想のつかない面白さで視聴者を惹きつける。
奇抜でリアルな世界とはかけ離れているファンタジードラマは、日常を忘れさせてくれるのが魅力。主役カップルがステキで、ストーリーと演出がしっかりしていれば、どんなに荒唐無稽でもドラマの世界を堪能できる。ヒューマンドラマとしての面白さもある『ブラック(原題)』で、非現実のファンタジードラマにどっぷりハマってみるのもオススメだ。
Writer:小田香
※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。
放送情報
ブラック(原題) 1話先行放送
放送日時:2018年2月4日(日)16:45~
チャンネル:Mnet HD
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。