「人情」を描く達人、毎日(イルイル)ドラマの人気脚本家ク・ヒョンスク
11月に韓国でスタートしたばかりの毎日(イルイル)ドラマ『二度はない』。この脚本を手掛けているのが、脚本家ク・ヒョンスクさんです。
クさんといえば、『19歳の純情』『百年の遺産-ククスがむすぶ愛』『伝説の魔女~愛を届けるベーカリー』など、手掛けたドラマは、ほぼ視聴率30%超えという毎日(イルイル)の人気脚本家。私、彼女のドラマが大好きなんです!その理由は二つ。
まずは、ヒロインの姿に元気がもらえること。クさんの作品に出てくるヒロインの多くは、まっすぐで頑張り屋な「愛されキャラ」(だいたいが田舎育ちの世間知らず(笑))。ある日突然、不可抗力で不幸のどん底に陥ってしまうのですが、持ち前のファイトと性格の良さで、周りを巻き込みながら、幸せな人生を勝ち取っていきます。そのひたむきさに胸が熱くなってしまうし、「私もへこたれてなんていられない!」と前向きな気持ちにさせてくれます。
『二度はない』のヒロインもそう。パク・セワン演じるヒロイン バクハは、方言バリバリの田舎者。もうすぐ赤ちゃんが生まれるという幸せの絶頂で、いきなり新郎が"自殺"をし、一人ぼっちになってしまいます。新郎の死に疑問を持った彼女は、新郎の働いていた高級ホテル「クソン」に単身乗り込んでいき......。まだドラマも序盤なので、これからどんな展開が待っているのかはわかりませんが、臨月の身で高速バスに乗り、大企業の会長に「会わせろ!」と息巻く1話を見ただけでも、ヒロインの強さが垣間見えて、ドラマが楽しみになってきます。
©2019MBC
ク作品のお約束(いや、これは韓国ドラマのお約束かも?)といえば、御曹司をはじめとするイケメン王子様たちが登場し、ヒロインの様々なピンチを助けてくれるということ。今回は、クァク・ドンヨン演じる「クソン」の後継者ヘジュンがヒロインを支えていきます。その中でバクハとヘジュンは恋に落ちるのか?はたまた「あしながおじさん」で終わるのか。ドラマの見どころの一つといえるでしょう。
©2019MBC
ク・ヒョンソクさんの脚本の素敵なところは、物語のベースにいつも「人情」があることです。
『二度はない』では、バクハが身を寄せることになる旅館「楽園荘」のおかみさん(ちなみに、演じているのは国民的大女優ユン・ヨジョン。久しぶりのドラマ出演です)を中心に、そこに住む"訳アリ"な人々が支えあって、励ましあって生きていく姿が描かれています。「お金」はないけど、打算もなく、そこにあるのは「人情」だけ。まったくの他人でありながら、バクハの赤ちゃんをあやし、相談に乗り、涙を拭き、見守り、絶対的な味方になってくれるのです。そんな登場人物たちの言動をみると、心がじんわりあったかくなってきます。災害や家族形成の変化などにより、「地域とのつながりの大切さ」や「人とのつながりの重要性」が叫ばれている昨今。だからこそ、ク作品の温かさが、私たちの心にしみわたるのかもしれません。
ク・ヒョンスクさんの脚本力が光る『二度とない』は、!月21日からKNTVで放送開始です。ぜひ、ご覧ください。
取材・文:酒井美絵子
聖心女子大学卒業後の2001年に渡韓。韓国外国語大学大学院在学中の2002年から、韓国から日本に輸出されるK-POP紹介番組などに出演。2004年からは日本の韓流ブームに乗り韓流雑誌への寄稿を開始。その後、出版・テレビ・映画といったメディア業界を中心に、ライター、コーディネーター、翻訳家として日々活動中。
2016年4月からは、BSスカパー!(BS241)で放送中の『韓流ザップ』で「天の声」を担当。
「Kカル! powered by スカパー!」とは
「Kカル! powered by スカパー!」とは、2016年4月より読売新聞夕刊「POPSTYLE(ポップスタイル)」紙面にて「シムクン♥韓流」として始まったスカパー!とのコラボ連載企画です。
2019年4月からは枠はそのまま内容がリニューアル!
お隣だけど、まだまだ知られざる魅力がいっぱいの韓国。
その文化、社会、流行、グルメなどを「Kカルチャー」=「Kカル」と称して毎月紹介します。
当サイトでは、「Kカル!」専属ライター、酒井氏によるコラム記事を紹介していきます。
「Kカル!」は、毎月第4水曜日にて連載中です。
※読売新聞夕刊をご購読でない方は、駅売店などでお求めください。50円です。また、よみうりショップでも紙面販売を受け付けております。
詳しくは、こちら↓の紙面購入方法をご覧下さい。
http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/yukan.htm