シワは男の勲章?スティーヴ・マックイーン流のイケてる年の取り方

『大脱走』
『大脱走』

(C) 1963 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. AND JOHN STURGES. All Rights Reserved

2020年3月24日(火)に生誕90年を迎える永遠のアクションスター、スティーヴ・マックイーン。"キング・オブ・クール"と呼ばれ、観る者を魅了し続けているマックイーンのキャリアを改めて振り返っていきたい。

両親の離婚や母親のアルコール依存など不安定な家庭で子ども時代を過ごし、寄宿学校に送られるほどの"札付きのワル"だったマックイーン。1950年代から俳優活動を始めると、1953年の『Girl on the Run』で銀幕デビュー。『傷だらけの栄光』(1956年)や『ニューヨークの顔役』(1958年)など端役を経験すると、B級SF『マックイーンの絶対の危機(ピンチ)』(1958年)で初の主役を掴み、1958年から1961年まで放送されたTVシリーズ「拳銃無宿」でブレイクを果たす。

「拳銃無宿」

(C)1958-1960 FOUR STAR - MALCOLM(A JOINT VENTURE)

「拳銃無宿」はバウンティーハンターの主人公が賞金首を追っていく中で様々な事件に巻き込まれていく西部劇。マックイーンは賞金稼ぎという役どころをミステリアスな危険な香りを漂わせたアンチヒーロー的な魅力を持ったキャラクターに昇華している。50年代はTVシリーズの西部劇が量産された時代だが、この作品は後に続編が映画化されるなど、他作とは一線を画し、彼もその名を世間に知らしめた。

『荒野の七人』

(C) 1960 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved

同時期に映画でも存在感を発揮し、スター街道を上り詰めていく。そのきっかけとなったのが、ジョン・スタージェス監督の『戦雲』(1959年)への出演だ。当時の演技がスタージェス監督の目に止まると、次回作の『荒野の七人』(1960年)で、7人のサブリーダー格のヴィン役に抜擢。人格者でありながらアウトローというキャラクターの相反する魅力を見事に体現してみせた。60年公開当時、マックイーンは既に30歳。元来の不良めいた気質が、演技に凄みと深みを与え、遅咲きならではの独特の貫録を自然と身につけていた。

さらにスタージェス監督との再タッグとなった『大脱走』(1963年)では、その魅力にさらなる色気が加わっていく。ドイツ軍の収容所から幾度となく脱走を試みる米国航空兵のバージル・ヒルツを演じたマックイーンは、革ジャンにチノパンという出で立ち。さらに、反抗精神むき出しの"大人の不良"的なかっこよさは、野性味あふれるルックスとも相まって抜群のハマリ役に。60年代のカウンターカルチャーの気運とも重なり、スターとしての評価と地位を揺るぎないものへと築き上げた。

『大脱走』

(C) 1963 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. AND JOHN STURGES. All Rights Reserved

また、『大脱走』を語る上で外せないのが、バイクアクションだ。本作の大半のスタントを自分でこなしているというマックイーンは、オートバイとレーシングカー狂としても有名で、スターになるにつれその好みは映画にも色濃く反映されていく。1968年の『ブリット』では、マックイーン演じる刑事と敵とのカーチェイスが繰り広げられ、サンフランシスコの坂道でのカーアクションはCGがない時代とは思えない大迫力。しかもすべてのスタントを自身でこなしているというからその技術には驚かされてしまう。さらにレースの臨場感を追い求め、プロドライバーも多数参加した『栄光のル・マン』(1971年)など、周囲の声に反発しながらも自分の好きな作品を作り上げ、モータースポーツへの深い愛情を表現した。

『栄光のルマン』

(C) 1971 Cinema Center Films (a subsidiary of CBS Entertainment, a division of CBS Inc.)

キャリア晩年でも、そのクールさは衰えず『トム・ホーン』(1980年)や遺作となった『ハンター』(1980年)では、自身の原点とも言える"賞金稼ぎ"に扮したマックイーン。ヤンチャさを残しつつも、顔にはくっきりと刻まれたシワの数々。だが、シワも男の勲章...そう言わんばかりに、男の渋みが増した彼は、不思議と衰えを感じさせなかった。年齢を重ねたからこそ出せる円熟味こそ、彼のキャリアの集大成であり、自ら切り拓いてきた"男の生き様"をまざまざと感じさせてくれる。

「史上初!生誕90年スティーヴ・マックイーン完全網羅」

写真:Photofest/アフロ

まだまだこれからという50歳の若さで末期ガンによってこの世を去ったスティーヴ・マックイーン。彼のキャリアを振り変えれば、まるでレースのように激しく、鮮烈なる人生を駆け抜けたことがわかるだろう。スターチャンネル2では、彼の映画出演作全28作品に加え、TVシリーズ、ドキュメンタリーまで"史上初めて"完全網羅した総力特集が3月14日(土)より4ヶ月連続で放送される。この世を去ってから40年が経った今、伝説として語り継がれる一方で、未だに"憧れの存在"としてファンの心の中に生き続ける唯一無二の魅力にぜひ触れてほしい。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

スティーヴ・マックイーン不朽の名作先行無料放送
荒野の七人/大脱走/拳銃無宿(#1~#4)ほか
放送日時:2020年3月7日(土)11:00~
チャンネル:スターチャンネル1

史上初!生誕90年スティーヴ・マックイーン完全網羅
放送日時:2020年3月14日(土)21:00~
※毎週(土)21:00~ほか
チャンネル:スターチャンネル2

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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