これまでの韓流ドラマファンだけでなく若い世代をも虜にし、様々なメディアでその熱狂ぶりが取り上げられるなど、予想以上のブームを巻き起こした「愛の不時着」。この作品でヒョンビン演じる北朝鮮のエリート軍人ジョンヒョクと恋に落ちるヒロイン・セリを演じ、再び注目を集めているのが人気女優ソン・イェジンだ。
イェジンが演じたセリは、自らの力で起業し富を築きあげ、主人公との関係もリードしていく自立した女性。これまでのヒロインとは一線を画した、同性が憧れるような凛とした女性像を説得力抜群に演じてみせると、海外のエンタメサイトが発表した「2020世界で最も美しい女性」ランキングで1位に選出されるほどの強い印象を残した。
■『私の頭の中の消しゴム』「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」...と代表作多数!
約20年にわたるキャリアを持ち、これまで映画とドラマでシームレスに活躍してきたイェジンは、現在38歳。その透明感あふれる美貌は今も昔も変わらないが、日本でその存在を広く知らしめた作品といえば、若年性アルツハイマーと診断されたヒロインを演じた『私の頭の中の消しゴム』(2004年)だ。愛する人に向ける天真爛漫な笑顔と、記憶を失うことへの戸惑いの感情を見事に両立させた彼女は、多くの観客を涙させた。
また当時は、「冬のソナタ」(2002年)により巻き起こった第1次韓流ブームの真っ只中...。その立役者であるペ・ヨンジュンと共演した『四月の雪』(2005年)では、それぞれの夫と妻が不倫している男女が恋に落ちる、ショッキングな"W不倫"というテーマにも挑戦した。同時期に日本公開されたこの2作は、今年『パラサイト 半地下の家族』に追い抜かれるまで、韓国映画歴代興収ランキングの上位をキープし続けてきたヒット作であり、イェジンはまさに韓流ブームを象徴する大女優といえるのだ。
また近年では、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)で次世代スター、チョン・ヘインを相手に演じた"年の差カップル"が話題に。親や世間から結婚のプレッシャーを感じている35歳のヒロインを演じたイェジンは、年下男性とのロマンスをリアルに体現。面倒見が良く何かと優秀だが、時に弱い顔も覗かせる...そんな等身大な姿は同性からの共感を呼び、"綺麗なヌナ(お姉さん)"シンドロームを巻き起こした。
■チャン・ヒョク、チャン・グンソクらと共演!若き日のソン・イェジンの男装姿
清純なイメージでありながら同性からの支持も厚いイェジンだが、DATVにて7月6日(月)から放送される「大望(テマン)」(2002年)で見せた若き日の姿からも、その魅力の片鱗を感じることができる。
「太王四神記」(2007年)の演出家と脚本家がタッグを組んだ本作は、権力者が横暴を繰り返していた18世紀の朝鮮半島を舞台にした大型時代劇。時代劇のカリスマと称されることになる人気俳優チャン・ヒョクと、「太陽の女」(2008年)のハン・ジェソクが、大商人の息子として生まれた義兄弟を演じたほか、「善徳女王」(2009年)イ・ヨウォン、「バリでの出来事」(2004年)のチョ・インソン、当時20歳だったイェジン...と、今では実現不可能な"後の売れっ子たち"が集結した作品だ。
当時としては画期的な時代劇で、ワイヤーアクションが盛り込まれたドラマチックな物語が展開していく中で、イェジンが演じたのは、商団の一員として各地を旅している男装の商人・トンヒ。荒々しい口調も巧みに操るキャラクターで、快活で男勝りな姿がインパクトを放っている。
そんなトンヒは、人望が厚く心の優しいパク・チェヨン(チャン・ヒョク)に惹かれているのだが、チェヨンは心に決めた相手がおり、トンヒもそのことを知りながらも献身的に彼を助けていく。普段は明朗だが、チェヨンのことになると健気でいじらしくなってしまうそんな乙女心を、イェジンはギャップのある演技で表し、トンヒを深みのあるキャラクターへと押し上げた。
当時子役だったチャン・グンソクが、チェヨンの義兄シヨンの子供時代を演じているなど、後の主役級スターたちが「大望(テマン)」で見せた初々しい姿は今見ても新鮮。その中でも、男装したイェジンはひときわ異彩を放っているが、自立心旺盛で内に秘めた大胆さは意外にもハマリ役。彼女が、異性だけでなく同性の共感を集める要因がこの作品からも分かるような気がする。
文=HOMINIS編集部
放送情報
大望(テマン)
放送日時:2020年7月6日(月)15:00~
※毎週(月)~(金)15:00~
チャンネル:DATV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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