大学路の小劇場作品で、最近主演としてひっぱりだこの演技派ミュージカル女優チョン・インジ
韓国のミュージカル好きな女性たちから、今最も支持を集めているのが、ミュージカル女優のチョン・インジさん。ドラマへの出演がないため、日本ではほとんど知られていませんが、コロナ禍で制作数が激減している今年も、すでに大学路の小劇場作品4作に出演した人気者です。
歌唱力も素晴らしいですが、なんといっても武器はその表現力。人並み外れた役への没入度で、観客を引き込んでいきます。
1998年、14歳(数え年)で声楽をスタートすると、ドラマ・映画に端役で出演しながら演技力を磨き、2007年に『偉大なるギャッツビー』でミュージカルデビューしました。その後、大学路の小劇場を中心にキャリアを積みますが、2010年、突然"引退"。2013年までの4年間、会社員として一般人生活を経験したそうです。しかし、「やっぱり演技がしたい」という自分の気持ちに嘘は付けず、舞台に復帰。そこから飛ぶ鳥を落とす勢いでミュージカル界を引っぱる存在となりました。
そんな彼女が今年2月から3月にかけて出演したのが、2018年に初演されて以来、演者を変えながら毎年上演される人気作品『マリ・キュリー』です。子供から大人まで誰もが知っているキュリー夫人の半生を描いた韓国オリジナル作品で、女性差別が激しい当時の社会の中で、研究者として実績を上げていく成功と苦悩、彼女を支える夫との夫婦愛が描かれます。
チョン・インジさんは、凛として信念を持って研究に打ち込むマリ・キュリーを、力強く熱演。公演ごとに熱い涙を流すことから、『鼻水の匠』とも呼ばれたそうです。未知の領域への興味から始まった研究を、人類を救う研究とすることが自らの使命だと気づいたマリ・キュリーが歌うラストの曲では、チョン・インジさんの感情豊かな歌いっぷりに、感動で胸が熱くなること間違いなしです。
ちなみに、人気者のチョン・インジさんは、同時期に2つの作品を掛け持ちすることもあるそうです。そういう時は、クラシックチャンネルや猫の動画を観て、気持ちを切り替えるんだとか。猫の動画とは!おちゃめですね。
取材・文:酒井美絵子
聖心女子大学卒業後の2001年に渡韓。韓国外国語大学大学院在学中の2002年から、韓国から日本に輸出されるK-POP紹介番組などに出演。2004年からは日本の韓流ブームに乗り韓流雑誌への寄稿を開始。その後、出版・テレビ・映画といったメディア業界を中心に、ライター、コーディネーター、翻訳家として日々活動中。
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放送情報
「韓国ミュージカル「マリ・キュリー」」
【番組概要】
“キュリー夫人”の名で知られる物理学者・化学者のマリ・キュリーを主人公とした創作ミュージカル。放射能の研究やラジウムの発見でノーベル賞を2度受賞したマリ・キュリーの苦悩と葛藤が描かれる。2018年に韓国文化芸術委員会の“創作の産室:今年の新作”、2019年には“創作の産室:今年のレパートリー”に選ばれ、2020年2月からソウルの忠武アートセンターにて上演された舞台。マリ・キュリー役をチョン・インジが演じた回をお届けする。(2020年2月22日収録 韓国ソウル・忠武アートセンター 中劇場ブラック)
出演:チョン・インジ, キム・ヒオラ, ヤン・スンリ, イム・ビョル ほか
放送情報:11月22日(日)16:00~
チャンネル:衛星劇場