韓国で平日の同時間帯に毎日放送され、トータル話数は100話以上がほとんどで、ハマるとなかなか抜け出せないことで知られる「日々(イルイル)ドラマ」。この「イルイルドラマ」に数多く出演し、今では"イルイルドラマの顔"とも言われる俳優が、ソ・ハジュンだ。
2008年に舞台「死んだ詩人の社会」で俳優デビューを果たし、2013年に物議を醸したイルイルドラマ「オーロラ姫」で、途中25話からの登場にも関わらず物語のキーとなる役を演じて一躍注目を浴びることになったハジュン。さらに2016年にも義母と婿、婿の再婚した女の繰り広げる愛憎劇「私の婿の女」に主演と、イルイルドラマを活動の基盤にし、順調にキャリアを築いていった。
そして日本での彼の知名度をぐっと高めたのが、朝鮮王朝時代を舞台にした時代劇「オクニョ 運命の女(ひと)」だ。ハジュンが演じたのは、幼くして王に即位したため母である文定王后に実権を握られ苦労したことで知られる第13代王の明宗。文定王后を演じたベテラン女優、キム・ミスクとの掛け合いや、心優しく正義感にあふれる明宗としての清廉な佇まいが評価を受け、多くの日本人ファンを獲得。その後、日本で単独ファンミーティングを開催するまでに至った。
イルイルドラマといえば、放送話数が長いため、登場人物の成長を丁寧に描いていることも特徴の一つ。ハジュンが演じてきた中で、一番と言っていいほど話中で成長を見せたキャラクターと言えば、KNTVにて3月7日(日)より一挙放送される「ちょっと味見しませんか?(原題)」(2019年)に登場する頼りない年下夫・ジンサンだ。
同作は料理上手なヒロイン・ヘジン(シム・イヨン)とスランプに陥っている脚本家・デグ(ソ・ドヨン)のロマンスを軸に、4つの家族のドタバタを描くホームドラマ。ハジュンが演じたジンサンはヘジンに猛アタックして結婚まで漕ぎつけたのだが、子育ても稼ぎもヘジンに頼りっぱなしのダメ夫。ヘジンのサポートもあって司法試験を目指す学生になったものの、信じられないことにクラブで出会ったジュリ(ハン・ガリム)とまさかの不倫...。優柔不断なダメ男なのだが、年上のヘジンを振り返らせただけあってどこか母性をくすぐられ、最後の最後までは憎みきれない。そんなジンサンが、自身の苦労を重ねることで他者に優しくできるように成長する姿には、ちょっとした感動を覚えるほどだ。
財閥令嬢と貧しかった過去を持つ起業家の恋を描くハジュンの出演最新作「火の鳥2020(原題)」では、大企業の御曹司である実直な兄と優しくユーモアのある弟を、一人二役で熱演。今まで演じた「オクニョ 運命の女(ひと)」の明宗とも、「ちょっと味見しませんか?(原題)」のジンサンとも異なる役どころにチャレンジしている。
31歳という若さでイルイルドラマに出演し続け、キャラクターを掘り下げた重厚な演技を見せるハジュン。今後はどんな姿を見せてくれるのか楽しみである。
文=津金美雪
放送情報
ちょっと味見しませんか?(原題)
放送日時:2021年3月7日(日)4:00~
※5話連続放送
チャンネル:KNTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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