世界最高峰の映画の祭典「第93回アカデミー賞授賞式」がいよいよ現地時間の4月25日(日)に開催される。新型コロナウイルスの影響もあり、例年とは異なる今回の授賞式の見どころを有村さんに解説してもらった。
北米では劇場が閉鎖され、多くの映画が公開延期に。新型コロナウイルスの感染拡大はアメリカの映画業界にも大きな影響を与えたが、アカデミー賞も例年から約2ヶ月もの日程延期を余儀なくされた。
「今年のアカデミー賞は異例ずくめになることでしょう。1年間で公開された作品の絶対的な数が少なく、無理をして今年度に公開するより、次年度以降の公開に舵を切った作品がとても多かった。それはつまり来年のアカデミー賞が激戦になることを意味していますが、かといって今年は前情報が少ない分、予想外のノミネートと受賞が起きそうな気はしています」
有村さんが最も意識しながら見てほしいと語るのは、変わりゆくアカデミー賞の現在地点。
「もともとは映画の祭典として映画業界・組合における功労賞のようなものでしたが、ここ数年は特に変わりつつあります。マイノリティーや差別について描いている作品が目立ちますが、これは"白すぎるオスカー"と揶揄されたアカデミー賞の在り方が変わってきた証拠。アカデミー会員の偏りも見直されて、白人男性が大部分を占めていた約6千人から、多様性を考慮した約9千人にまで増えました。昨年の『パラサイト 半地下の家族』の受賞もこの変化が一つの要因ですね。また、受賞スピーチでは近年、ドナルド・トランプ政権やハーヴェイ・ワインスタインの性的暴行事件、セクハラを告発する#MeToo運動に対してなど、自身の態度を表明する場としての意味合いが強くなってきているので、今年も注目していただきたいです」
華やかな授賞式はショーとしての見どころも満載だ。
「プレゼンターがオスカー受賞者を発表する瞬間は高揚感がありますよね。そんな中で僕が忘れられないのは、'15年の主演男優賞。受賞を逃したマイケル・キートンが画面に映っていて、読むはずだったスピーチ原稿を服の内ポケットにしまったんです。拍手しながらスッとしまう切なさたるや...。そして、'17年の作品賞『ムーンライト』。間違えて『ラ・ラ・ランド』がアナウンスされる珍事が起きて、あんなに受賞者が申し訳なさそうな、エモーショナルじゃない作品賞は初めて見ました(笑)。今年も生中継だからこそ生まれるドラマに期待しています」
ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。
聞き手=山崎ヒロト(Heatin' System)
放送情報
スキャンダル(2019)
放送日時:2021年4月25日(日)12:15~
チャンネル:WOWOWシネマ
生中継!第93回アカデミー賞授賞式
放送日時:2021年4月26日(月)8:30~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合あります
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