吉田潮が「ブレイキング・バッド」のスピンオフドラマ「ベター・コール・ソウル」を語る!

■口八丁の辣腕弁護士が道を踏み外す前の物語

さえない化学教師がドラッグを製造、人の道を踏み外していく様を描いた「ブレイキング・バッド」(以降BBと表記)はスケールの大きい犯罪サスペンスだ。そのスピンオフで、味付け濃いめなサブキャラたちの過去を描いたのが本作「ベター・コール・ソウル」。人間模様をより濃密に炙り出した、秀逸な作品に仕上がっている。主人公はソウル・グッドマン(ボブ・オデンカーク)。マシンガントークと悪知恵で犯罪を巧妙にサポートした弁護士だ。BBで悪事がバレた彼は偽名で逃亡生活中。現在の姿はモノクロ映像で表現。華やかで派手だった頃との対比が印象的だ。

物語は彼が"ソウル"を名乗る前にさかのぼる。本名はジミー・マッギル。ネイルサロンの小部屋を間借りする貧乏弁護士だが、弱者を救う正義の人だ。敏腕弁護士として法曹界に名を馳せている兄・チャック(マイケル・マッキーン)を心から尊敬、愛していたが、兄弟間の根深い確執と嫉妬は衝撃の結末を迎える。シーズン1~3はマッギル兄弟の愛憎劇がずっしりと胸に迫る。

シーズン4では、犯罪弁護士"ソウル・グッドマン"誕生のきっかけが明らかに

また、元刑事ですご腕の犯罪請負人・マイク(ジョナサン・バンクス)の過去も描く。BBではソウルもマイクも犯罪のプロフェッショナルだが、本来は善良で正しい人間だった。彼らの才能と手腕は、巨悪の元締め・ガス(ジャンカルロ・エスポジート)に搾取され、凶悪に染められていく。

ソウルにも幸せな時代があった。正義感の強い弁護士で恋人のキム(レイ・シーホーン)と仲むつまじく暮らした日々。今はただ色のない世界で息を潜めるのみ。不憫だが、彼が悪事のツケを払う物語はもう少し続く。

文=吉田潮

よしだ・うしお●'72年生まれ。ドラマ好きのコラムニスト兼イラストレーター。週刊誌や新聞でテレビ・ドラマ評を執筆。時々テレビにコメンテーターとして出演。著書「くさらないイケメン図鑑」など著書多数。ネコ2匹と同居中。

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放送情報

ベター・コール・ソウル シーズン4
放送日時:2021年6月1日(火)23:00~
チャンネル:スーパー!ドラマTV
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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