「Butter」が9月4日付のビルボードHOT100(米シングルチャート)で14週連続TOP10入りし、今年のグラミー賞で最優秀新人賞を受賞するなど現在最も勢いのある女性ラッパー、ミーガン・ジー・スタリオンが参加した「Butter」のリミックスバージョンを発表したBTS。今年の夏を彩ったグローバルサマーソングに彼女の表現力豊かなラップが加わり、また新たな作品の魅力が開花している。
相変わらず、世間のトピックに上がらない日はない状況が続いているBTS。代表曲「Dynamite」から「Permission to Dance」に至る英語詞曲は、彼らをさらなる高みへと押し上げたが、これまで発表した楽曲にも"沼落ち"確実の名曲が多く存在する。9月19日(日)にKBS Worldにて放送される韓国の音楽番組「ミュージックバンクダイジェスト~BTS出演回 Part2」では、BTSの過去出演回がダイジェストでオンエアされ、そうした名曲のパフォーマンス映像が披露される。
その中の1曲、2018年に発表された「FAKE LOVE」は恋愛の傷心を描いたナンバー。複雑な愛と目を背けたくなるような苦しみが、どこかリアリティ溢れるテイストで描かれ、メンバーの切なく胸を切り刻む歌声が心を捉えて離さない。
また、2019年のカムバック作「Boy With Luv」は、アメリカの新世代ディーバ、Halsey(ホールジー)とフィーチャリングした曲で、"君"への関心、小さくも素朴な愛の喜びをピュアに歌い上げている。この曲は7人の歌声がシームレスにバトンをつないでいく景色が特に素晴らしい。
高音の色っぽい息遣いに唸るジミンの歌い出しで始まり、そこにサラリと滑り込むように入ってセクシーな低音を響かせるV。そして、安定したハイトーンボーカルでつなぐジン、抜群のリズム感でサビへの期待感を煽るジョングクといったボーカルラインの流れは秀逸だ。1サビ後のラップは男らしく深みのあるSUGAの声で場面がガラッと切り替わり、J-HOPEがキーの広い躍動感ある声で楽曲に奥行きを持たせ、2サビの後には、真打ち登場!と言わんばかりのRMによるハイクオリティなラップは圧巻のひと言。華やかさと楽しさのある一糸乱れぬ振り付けも何度も見たくなるに違いない。
『MAP OF THE SOUL: 7』に収録された「ON」は、強気の歌詞とダンスパフォーマンスが印象的なBTSの真骨頂と言える1曲。マーチングバンドをフィーチャーしたパワフルな音でイントロが始まり、デビューから7年を経た7人が"アーティストとしての召命意識と心構え"を歌っている。
壮大なサウンドワークに負けないボーカルライン4人は、高低差の激しいメロディーを美しいファルセットを駆使しながら歌い上げ、さらに自らの声の個性もアピール。ラップの3人は楽曲のローなパートを担当し、ダークな中にもふつふつと燃えるような力強さを感じさせる点がポイントだ。7人7色の歌声はどれか1つ欠けてもBTSの楽曲として成立しないし、さらにそれらは無敵のバランスのパート割の上に存在しているということを改めて実感する。
今年4月に放送された第1弾「ミュージックバンクダイジェスト~BTS出演回」の反響を受け、視聴者のリクエストによってセレクトされたという「ON」。"デビュー7年を振り返るアルバム"という意味合いが込められた『MAP OF THE SOUL : 7』のリード曲であり、同アルバムリリース直後の2020年2月28日・3月6日放送回が今回ピックアップされている。
「ON」には、与えられた道を運命だと受け入れ、前に向かって進むという彼らの決意が込められており、この後につづく世界的ムーブメントへの"覚悟"のような気迫が漂っている。今聞き返すことで、BTSが紡いできた壮大なストーリーに改めて目を向けてみたい。
文=川倉由起子
放送情報
ミュージックバンクダイジェスト~BTS出演回Part2
放送日時:2021年9月19日(日)19:20~
チャンネル:KBS World
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら