世界的ブームを巻き起こした「愛の不時着」以来となるドラマ「三十九(原題)」の出演が予定されているソン・イェジン。タイトルの通り40歳目前の女性たちの人生を見つめた同作で、イェジンは実年齢と同じ39歳のヒロインを演じるほか、『82年生まれ、キム・ジヨン』の脚本家ユ・ヨンアが手がけるという話題性もあり、早くから注目を集めている。
「愛の不時着」でも40歳目前とは思えない透明感あふれる美貌は顕著だったが、イェジンといえば、韓流ブームの真っただ中で日本公開された『私の頭の中の消しゴム』(2004年)のヒロイン役で日本でも広く知られる存在。代表作には、芯の強い、自立した女性像を演じた作品が少なくない。その中の1つが、ドラマ「サメ~愛の黙示録~」(KBS Worldにて9月29日より放送)で演じたヘウだ。
"愛の黙示録"というサブタイトルが表す通り、過酷な運命の下で復讐心を抱き続ける孤独な男性ハン・イス(キム・ナムギル)と、ホテルグループの令嬢、チョ・ヘウによる、究極の愛の形が描かれる本作。
高校時代の初恋の相手、イスが死んでしまったとばかり思っていたヘウは、成長し検事の道へ。イスが姿を消した後、彼女をずっと支えてきたジュニョン(ハ・ソクジン)と幸せな結婚式を挙げた彼女の前に、若き敏腕社長、ヨシムラ・ジュン(キム・ナムギル)が現れる。実はジュンは、12年ぶりに韓国に戻ってきたイスその人だった...というストーリー。交錯する12年前と現在の2人の恋愛模様と、ジュンの企む復讐劇が両輪となってドラマを盛り上げていく。
「サメ~愛の黙示録~」出演時、イェジンは三十路に差し掛かったところ。すでにドラマ「夏の香り」(2003年)や映画『私の頭の中の消しゴム』、ペ・ヨンジュンと共演した『四月の雪』(2005年)などの代表作をいくつも生み出しており、ピュアで一途なヒロイン像で日本でも多くのファンを獲得していた。年齢を重ねても衰えを見せない美しさに、今なお多くの女性が憧れのまなざしを向けている。
さらに、30代以降は大人の女性ならではの深みが増し、芯の強いキャラクターを体現してきたイェジン。「サメ~愛の黙示録~」のヘウも、正義感溢れる優秀な検事。高校生の時、心を通わせた使用人の息子・イスの失踪に深く心を痛めており、未解決のままになっているイスの事件の真相を突き止めるため、検事を志したというバックボーンを持っている。
イスへの恋愛感情も12年間失わず、胸の中に秘めてきた。結婚相手のジュニョンと過ごしている時にはチャーミングな笑顔を見せながらも、ジュンを名乗る男になぜか感情を揺さぶられてしまう...。そんなヘウの、どうしようもなく惹かれていく大人の女性ならではの葛藤を情感豊かに表現したイェジン。その瞳からこぼれ落ちる美しい涙が印象的だ。
12年前の学生時代を演じるキョン・スジンとのバトンの受け渡しも完璧で、高校時代に交わしたイスとの絆を12年経っても守ろうと必死になるヘウの"芯のあるヒロイン像"がピタリとハマり、ストーリーに説得力を与えている。
一方、イス役のキム・ナムギルは、この「サメ~愛の黙示録~」が除隊後初の復帰作であり、3年ぶりのドラマ主演。イェジンとは本作が初共演だったが、実力者同士のカップリングも好相性。翌2014年には映画『パイレーツ』で2人の再共演も実現し、こちらも大きな話題を呼んだ。
これに限らず、ソン・イェジンの作品には忘れがたい名カップルが多々生まれている。近年でも、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年)でチョン・ヘインと演じた"年齢差カップル(ジナ&ジュニ)"、映画『Be With You ~いま、会いにゆきます』でソ・ジソプと演じた"愛情深い夫婦(スア&ウジン)"など、いずれのカップルも印象深く、「愛の不時着」(2019年)で共演したヒョンビンとの相性は言わずもがなだ。
演じるキャラクター自身の魅力はもちろん、相手役との息の合ったケミストリーでストーリーに深みをもたらしてきたイェジン。透明感溢れる美貌とも相まって、39歳を迎えた今もその魅力は増すばかりだ。年齢を重ねてきたからこその説得力で演じる「三十九(原題)」をはじめ、今後も誕生するであろう新たな代表作にも期待したい。
文=酒寄美智子
放送情報
サメ~愛の黙示録~
放送日時:2021年9月29日(水)19:00~
※毎週(水)(木)19:00~
チャンネル:KBS World
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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