新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、当初の2月開催から現地時間・4月3日(日)へと急遽延期となった「第64回グラミー賞」。2年連続で「最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)」にノミネートされたBTSは念願の初受賞となるのか、時代のアイコンになった彼らに世界中からの熱い視線が注がれている。
BTSの影響力の高さを伺わせるのが、世界中でハングルを学ぶARMY(BTSのファン)が続出しているという点だ。「Dynamite」や「Butter」など、近年では英語詞の楽曲が世界的にヒットしているが、2013年のデビュー以降、彼らは母国語で発信するメッセージに強いこだわりを見せてきた。そんな歌詞の意味はもちろん、BTSが発する言葉をリアルタイムで理解したいと、多くのファンがハングルを勉強しているのだ。
2020年にリリースした「Life Goes On」は、韓国語詞の楽曲にも関わらず、ビルボードHOT100(米シングルチャート)で初登場1位を獲得。韓国語詞の楽曲が首位を獲得するという同チャート62年の歴史の中でも初の快挙を達成した。
"BTS効果"はそれだけにとどまらない。例えば、廃止の危機に陥っていたフランス大学の韓国学科は平均入学倍率が17倍を記録したり、ベトナムでは韓国語が英語などと並ぶ「第1外国語」になったりと、韓国語の地位が世界的に高まっているという。
そんな状況を象徴するように、1446年に世宗大王によってハングルが公布されてから575周年となる2021年10月9日の"ハングルの日"には、韓国で「BTSのためにハングルを学んだ」という番組までオンエアされた。
この番組は韓国語を学ぶファンたちに密着したドキュメンタリー。KBSのアンケート調査に応じた122ヶ国、1万7000人ほどのARMYたちが考えるハングルの魅力などを発表していき、BTSによる特別なメッセージと歌のプレゼントも収録されている。
ARMYが韓国語を学ぶことでBTSのメッセージを深く理解していく一方、BTSも世界中のARMYに向けて英語で発信する機会が増えてきた。その姿勢を象徴しているのが、2018年にBTSが国連総会で行ったスピーチ。リーダーのRMは、自身の生い立ちや夢など、非常に個人的なストーリーを明かしながら、全文英語で"自分自身を愛すること"の重要さを訴える内容で、多くの人の心に響いた名スピーチだった。
英語に堪能なRMは、プロモーションや授賞式などで海外を訪れた際にメンバーたちの通訳もするなど、かつてはほとんど一人で受け答えをしていた。しかし、全米チャートを賑わすようになった今では、他のメンバーも全米の番組でMCとコミュニケーションを取れるほどに成長している。
中でも最年少メンバーのジョングクは、高校時代に英語のテストで2点を取ったというエピソードを持つほど英語が苦手だったが、2021年の「アメリカン・ミュージック・アワード(AMAs)」で最高賞に輝いた際には、必死の英語で感謝の思いを伝えようとスピーチ。あまりに言葉に詰まってしまい、メンバーによって強制的に終了させられてしまったが、その真摯な姿勢が世界中のARMYを感動させたことも記憶に新しい。
双方が歩み寄るコミュニケーションによって絆を築いているBTSとARMYたち。今度も世界的な人気はさらなる拍車がかかることだろう。
文=HOMINIS編集部
放送情報
BTSのためにハングルを学んだ
放送日時:2022年2月26日(土)18:45~
チャンネル:KBS World
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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