拙い愛情表現がとにかく可愛い...デビュー初期のパク・ソジュンが見せた「ツンデレの原点」

昨年デビュー10周年を迎え、12月には33歳となったパク・ソジュン。年明け早々には、「わかっていても」で大ブレイクした人気女優ハン・ソヒと共演する新ドラマ「京城クリーチャー」の撮影開始のニュースが伝えられたばかり。ほかにも、マーベル・スタジオの新作映画『ザ・マーベルズ』やイ・ビョンホンと共演する映画『コンクリートユートピア』など、様々なビッグタイトルが控える2022年は、ソジュンにとってさらなる飛躍の年になりそうだ。

そんな今からちょうど10年前、ソジュンは学園ドラマ「ドリームハイ2」(2012年)で本格的な俳優活動をスタートさせた。GOT7や2AMら、JYPエンターテインメント所属アーティスト(出演当時)に交じって、彼がK-POPアイドル役を演じたことは広く知られているが、その後、韓国で彼の知名度を一気に拡大させた出世作といえば「金よ出てこい☆コンコン」(2013年)というホームドラマだ。

宝石会社の御曹司であるパク家の3人の息子たちの恋愛模様と人生をコミカルに描いた「金よ出てこい☆コンコン」。最高視聴率22％超を記録し、当時の週末ドラマ1位の座を獲得した大ヒット作で、ソジュンはパク家の末弟でろくでなしの放蕩息子・ヒョンテを演じた。

財閥一族であるパク一家はとにかく長幼の序に厳しい家庭で、末っ子でかつ"愛人の子"でもあるヒョンテの立場は弱い。窮屈な家庭環境から、ヒョンテはわがまま放題の遊び人に成長し、たびたび父であるパク社長の顔に泥を塗ってきた。

飄々としてヒネた態度のヒョンテ。ヘラヘラ笑いながら兄や義母に皮肉をぶつけたり、話しかけられてもまともに応じず肩をすくめて見せるなど、序盤は本当に"チャラい"キャラクターだ。クールで紳士的な役柄もバッチリとハマる現在のソジュンの姿と比べると、逆に新鮮でもあり、甘いルックスとも相まって、いい感じに憎めない"ドラ息子キャラ"に仕上がっている。

とはいえ、劇中ではパク一家の嫁舅関係や兄弟の確執などのドラマが中心で、恋愛パートもハン・ジヘ＆ヨン・ジョンフン演じる長男カップルがメイン。そのため、序盤はヒョンテとそのお見合い相手であるモンヒョン(ペク・ジニ)のエピソードはそれほど多くはなかった。

だが、ヒョンテとモンヒョンが結婚し、夫婦になると様相は次第に変わってくる。モンヒョンに向かって、「父に殴られないために結婚するんだ」と言い放ち、新婚旅行にも恋人を連れて行くほど無茶苦茶だったヒョンテが、我慢強く自分の悲しみを理解しようとするモンヒョンの真心に触れ、変わっていく。モンヒョンの実家で温かな家族の絆も知って、他人を大切に思う感情を芽生えさせていくのだ。

その、ちょっと不器用ながらモンヒョンに心を寄せていくヒョンテのツンデレ具合がなんとも可愛くて、序盤でのドラ息子ぶりを知っているからこそ後半は"キュン"が止まらない。韓国での放送当時も、全50話という長いストーリーの中で徐々に心通わせていく2人の様子に注目度は高まる一方。当時は"モン"ヒョンと"ヒョン"テの名からとった"モン・ヒョンカップル"の愛称も生まれるなど、多くの視聴者に愛される名カップルとなった。

オーディションでヒョンテ役を勝ち取ったソジュン自身、この作品がターニングポイントになったと明かしている。このヒョンテ役で「コリアドラマアワード2013」の男性新人賞を獲得し、一躍お茶の間の人気者となったソジュン。翌年、「魔女の恋愛」(2014年)でオム・ジョンファと年の差カップルを演じてラブコメの才を開花させ、"キス職人"や"ラブコメの神"の称号を獲得していくことになる。

その後の活躍は知っての通り。「彼女はキレイだった」(2015年)で地上波初主演を務めると、「花郎＜ファラン＞」(2016年)、「キム秘書はいったい、なぜ？」(2018年)、「梨泰院クラス」(2020年)と出る作品を次々にヒットさせるトップ俳優に成長した。

ハリウッド進出も実現させるなど押しも押されもせぬスターとなった今、デビュー間もない頃に見せた初々しい可愛らしさを、改めて堪能してみてほしい。

文＝酒寄美智子

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