アイドル顔負けのイケメン大学生、タイン(ウィン)とサラワット(ブライト)が織り成す恋愛模様に多くのファンが熱狂したタイドラマ「2gether」シリーズ。主人公たちの少女漫画さながらの胸キュン展開はもちろん、常に彼らの隣にいる親友たちの存在も、"爽やかな学園ドラマ"として幅広い支持を集めた理由の一つだろう。
タインが常につるんでいる仲良しグループの中でも、最も冷静かつ頼りになる存在としてフォーカスされていたのが、親友のフォン。「2gether」ファンの中にも"フォン推し"を公言する声が少なくなかった人気キャラクターで、演じたカオタン・タナワットのスマートな物腰も注目の的だった。そんな彼が主演を務め、幼なじみに恋する大学生に扮した作品が、「Tonhon Chonlatee(トンホン・チョンラティー)」だ。
幼い頃、本当の兄と弟のように仲が良かった幼なじみのトンホン(ポッド)とチョンラティー(カオタン)――本作は、くっつきそうでくっつかない彼らのもどかしい恋模様が軸となって展開していく。
チョンラティーは年上のトンホンに恋心を抱いていたが、トンホンの引っ越しにより、2人は離ればなれに。数年後、チョンラティーが彼を追いかけて同じ大学に入学し、2人の交流は再開するが、一方のトンホンは思わせぶりな言動を繰り返してばかり。近づいたと思っても突き放される...そんな幼なじみならではのじれったい距離感が絶妙に描かれる。
この作品、カオタン以外にも、タイドラマファンにはたまらない顔ぶれが揃っている。お相手のトンホンを演じるのは、同じくタイのBLドラマ「Dark Blue Kiss~僕のキスは君だけに~」でカフェのオーナー、サンを演じていたポッド。弟の友人・モーク(フルーク)と結ばれ、こちらも人気のサブカップルとして注目を集めた。
また、「2gether」でサラワットの親友・マンを演じたマイクと、彼が猛アプローチするお相手で、タインの兄・タイプに扮したトップタップの2人が、本作では最初から仲睦まじい姿を披露。トンホン&チョンラティーが通う大学の仲間として、2人の恋を応援する良き理解者を演じている。
そしてタイBLドラマの真骨頂ともいえるのが、主人公カップルの共感を呼ぶ関係性。ピュアで一途なチョンラティーに対し、自分の気持ちに鈍感なトンホンは、今まで感じたことのない思いに戸惑うあまり、ゲイを否定する発言を連発。若さゆえのすれ違いに切なくなったり、友人たちやチョンラティーの母の励ましにホロリとしたり、様々な感情が引き起こされる。
そして何より、「2gether」のフォン役とは全く違う、カオタンのヒロインぶりが秀逸だ。第1話、ランチに誘われたチョンラティーが、バイクで迎えにきたトンホンに「俺の腰につかまって」と言われる場面では、彼の背中で思わずニマニマしてしまうという少女漫画チックな反応を見せてくれる。
ヌードルを食べる2人の様子はもう、完全に付き合い始めのカップルのよう。一つの器から一緒にヌードルをすすり、急に2ショットで自撮りをしたトンホンが、「好きだな(この写真)」と何気なくつぶやいた言葉に、「...好き?」と必死に平静を装おうとするチョンラティーが可愛い。トンホンの感情の読めなさも相まって、何気ない日常のシーンでもチョンラティーに共感してキュンキュンしてしまうのだ。
また、いちゃつく2人の様子をジロジロ見る周囲の視線がしっかり描かれているのも本作の特徴。そもそもトンホン自身が、保守的な考えを持つ父親のもとで育ったことで同性愛に偏見を持っており、そんな彼が徐々に変化していく過程がリアルな共感を呼ぶのだろう。ストーリーが進むにつれ、2人を取り巻く偏見への葛藤も描かれていく。
ゲイに対する葛藤というテーマにおいては、「Dark Blue Kiss~僕のキスは君だけに~」の方がより色濃いが、それゆえに軽やかで後味のいい青春ドラマに仕上がっている「Tonhon Chonlatee(トンホン・チョンラティー)」。「2gether」をはじめとしたタイドラマファンはもちろん、タイドラマが気になっているドラマファンの入り口としてもおすすめの一作だ。
文=酒寄美智子
放送情報
Tonhon Chonlatee(トンホン・チョンラティー)
放送日時:2022年4月4日(月)23:30~
※毎週(月)~(金)23:30~
チャンネル:女性チャンネル♪LaLa TV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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