『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)の公開から20年以上経った今もなお、最前線で活躍を続けるダニエル・ラドクリフ。本シリーズで10年に渡って主人公ハリーの成長を演じきり、世界的スターとなった彼が、次々と新境地を開いている。
『ホーンズ 容疑者と告白の角』(2013年)では額から突如として角が生えだす男、『スイス・アーミー・マン』(2016年)では不思議な能力を持った死体役、『アンダーカバー』(2016年)ではスキンヘッド姿でネオナチ組織へ潜入するFBI捜査官を演じるなど、近年のラドクリフはハリーからのイメージの脱却を試みるような異色&チャレンジングな役にどんどん立ち向かい、振り幅の広い演技力を見せつけている。
6月30日(木)にムービープラスで放送される『ガンズ・アキンボ』(2019年)も、ぶっ飛んだラドクリフがたっぷりと見られる作品としてオススメしたい1作だ。本作で彼は、両手に拳銃が固定されデスゲームに強制参加させられる気弱な青年を演じている。
ゲーム会社のプログラマー、マイルズ(ラドクリフ)はネットのコメント欄に過激な書き込みをする"クソリプ"で日々の鬱憤を晴らしていた。ある日、殺し合いを生配信する闇サイト「スキズム」でクソリプ祭りをしていたマイルズは、闇の組織に襲撃されてしまう。目を覚ますと、マイルズの両手にはボルトで拳銃が固定されており、「スキズム」に参加して最凶の殺し屋ニックス(サマラ・ウィーヴィング)と戦って24時間以内に勝てと命令される。
ビールを飲みながらゲップをして、口汚い言葉でクソリプするだけが楽しみのマイルズ。"強制二丁拳銃"にされてからは、両手が使えないからスマホも打てず、敵から逃げるためにパンツを大胆に見せながら街を走り抜け、「スキズム」を楽しむネット民からは「こんなに情けないヤツは初めて見た」と言われる始末...。「ウソだろ!」「マジかよ!」の連続で、うろたえ、のたうちまわるマイルズの姿が大きな見どころだが、ラドクリフが見事に彼の戸惑いを表現している。
ホームレスに服を着せてもらって、ホットドッグも食べさせてもらったマイルズは、人質にとられた元カノを奪還すべく、どん底から這い上がるかのようにバトルへと立ち向かっていく。クライマックスの弾けまくりのアクションまで、アドレナリン全開。また、ネットをながめてネガティブな書き込みばかりしていたマイルズが、壮絶な体験を経て自ら戦う決意をする姿も、こちらを興奮させるものがある。大胆な役どころに身を投じたラドクリフが、観客を大いに楽しませてくれるのだ。
最新作となる伝記映画『Weird: The Al Yankovic Story (原題)』では、替え歌王で知られるミュージシャン、アル・ヤンコビックをくるくるパーマ姿で演じているラドクリフ。これからもあらゆる作品で、様々な表情を見せてくれそうだ。驚きをくれる俳優、ダニエル・ラドクリフの変身ぶりに今後も期待したい。
文=成田おり枝
放送情報
ガンズ・アキンボ
放送日時:2022年6月30日(木)21:00~
チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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