マーベルの代表的キャラクターの最新作として昨年12月に公開され、北米では歴代3位、世界興収でも歴代6位となる19億ドル超えの大ヒット作を記録した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021年)。新映像を追加したエクステンデッド版『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム ザ・モア・ファン・スタッフ・バージョン(原題)』が日本でも9月に公開予定など、今もなお話題を振りまいている。
前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)で、宿敵・ミステリオによって正体がバラされてしまったスパイダーマンことピーター・パーカー。この状況を変えるべく、ドクター・ストレンジの禁断の魔術を使って、世界中の人々の記憶から自分がスパイダーマンだという記憶を消そうとする。しかし、あろうことか"マルチバース"の扉を開いてしまい、ドック・オク、グリーン・ゴブリン、エレクトロといった強敵を別の次元から呼び寄せてしまい...。
自分が生きている世界以外にも、似たような世界が連続して存在するという多元宇宙的なマルチバースを扱った本作は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の『スパイダーマン』だけでなく、トビー・マグワイアの『スパイダーマン』シリーズ、アンドリュー・ガーフィールド版の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズとも物語がリンクしていく『スパイダーマン』映画の集大成ともいえる1作となった。
『スパイダーマン』シリーズの大きな魅了といえば、"親愛なる隣人"という呼び名にもあるように、ポップで親しみやすいスパイダーマンことピーターのキャラクター。高校生らしく調子に乗り、時にはヒーローであることに悩みながらも成長していく姿がなんとも等身大だ。
マグワイアが演じたピーターはメガネに七三分け、大人しい性格でクラスメイトやバスの運転手にすらイジメられるスクールカーストの最下層。マグワイアはうつむきがちな表情や口籠るような話し方でイケてない人物像を好演した。一方、ガーフィールドは校内をスケボーで移動するようなヤンチャ感もあり、どことなくイケてる雰囲気が漂うピーター像を築き上げた。
そんな2人に引けを取らないハマりっぷりを見せているのがトム・ホランドだ。その少年らしいルックスと弾けるような笑顔がとにかくチャーミング。過去作と比べても最もアッパーなピーターといえるだろう。さらにスパイダーマンとして悪党を懲らしめる時の軽口のトーンなど、どことなく生意気なところも魅力的で、愛されキャラとしてホランドの当たり役になった。
一方で、力に伴う責任に葛藤しながらも向かい合っていく様子も繊細に表現。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』でも、マルチバースを開くというとんでもない失態を犯してしまったピーターのとある重大な決断を精悍な顔つきで演じており、その成長ぶりには感動させられてしまう。
今作で"トムホ版スパイダーマン"三部作は完結を迎えた。しかし、マルチバースを題材にしたことでMCUは驚くような展開が続いている。またスパイダーマンのヴィランたちを主人公にしたソニーズ・スパイダーマン・ユニバースシリーズも活発化している。ハマり役だっただけにホランドの再登場に期待したい。
文=HOMINIS編集部
放送情報
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
放送日時:2022年8月27日(土)21:15~
チャンネル:スターチャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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