アニメ「響け!ユーフォニアム」の続編新作となる「特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」が2023年8月4日より全国の劇場で上映されている。
本作は2015年にTVシリーズ第1期が放送され、2016年に第2期が放送、そして2019年には完全新作劇場版が公開された人気作品の約4年ぶりとなる続編。夏の吹奏楽コンクールと並んで、熱い演奏が繰り広げられるアンサンブルコンテスト、通称"アンコン"。校内予選で出場する代表チームを選出することになったが、50人を超える部員が所属する北宇治高校吹奏楽部ではさまざまな問題が発生。新しく部長になった主人公・黄前久美子が奮闘する姿が描かれる。
今回は久美子と同級生の加藤葉月役の朝井彩加と、川島緑輝役の豊田萌絵の2人にインタビューを行った。
――特別編の劇場上映が決まった時はどのような感想がありましたか?
朝井「2019年に公開された『劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』のタイトルにフィナーレと付いているように、これで最後かもしれないと思っていたのですが、役を演じてきた身としては久美子たちが卒業を迎えるまでは演じ続けたいという気持ちが大きかったんです。なので、今回アンサンブルコンテスト編を映像にしてもらえると知った時は素直に嬉しかったですね」
豊田「来年TVアニメとしての放送が発表されている『響け!ユーフォニアム3』、いわゆる『久美子3年生編』だけではなく、アンサンブルコンテスト編まで映像にできたというのは、いちファンとしてもとても嬉しいです。アンサンブルコンテスト編は3年生に向けても絶対に欠かせないエピソードだと思うので、今やることにすごく意味があるんじゃないかなと思います」
――お二人は第1期からこの作品に関わっていますが、ここまで長く続く作品になると思っていましたか?
朝井「オーディションでもらった資料を見た時に1クールで終わってしまうんだとばかり思っていたのですが、そこから作品の魅力がいろんな方に伝わっていって、みなさんがユーフォの魅力を広めてくれたおかげでここまで愛される作品になったんじゃないかなと思います」
豊田「本当にそうだね。あっという間に8年が経ったという印象で、最初から考えると3年生編まで描けることが夢のようで...。キャラクターの成長を一緒に追うことができる作品はそうそうあるものではないので、それはユーフォでしか味わえない感覚でしたね」
――お二人にとって「響け!ユーフォニアム」はどのような作品になりましたか?
朝井「新人の頃から長く携わらせていただいて、私にとっては自分自身を成長させてくれた作品ですね。今までは当たり前に加藤葉月役の朝井彩加ですと名乗ることができていたんですけど、これもあと何回皆様の前で言えるのかなと。3年生編ができる喜びと同時に、北宇治高校を卒業する寂しさもあります」
豊田「私は声優としての活動期間とユーフォに関わった期間が同じくらいなので、そういう意味でも特に思い入れが強い作品ですね。だんだんと終わりに近づいているのを感じるのですが、ユーフォはキャラクターがリアルだからこそみなさんの中で生き続ける作品だと思っているので、この先も長く愛してもらえる作品になるんだろうなと思います」
――映像作品としては2019年に公開された「劇場版 響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜」以来となりますが、どのような気持ちでアフレコに臨みましたか?
朝井「映像としては4年ぶりではあったんですけど、その間にドラマCDを収録させていただいたり、カルテットの4人でラジオ収録をさせていただいたり、さまざまなイベントに登壇させていただいたりして、常に作品を近くに感じることができていたので、久しぶりという感覚ではなかったんです。ただ、いただいた台本を読んでみると、スタッフさんの意気込みが強く感じられて、より一層気を引き締めて臨まないといけないなと思いました」
豊田「ユーフォのアフレコ現場っていつも独特だなと感じていて、緊張感は常にあるのですが、第1期からずっとスタッフさんやキャスト同士の関係性が変わっていないので、家族のような安心感があるんです。今回4年ぶりのアフレコだったんですけど、久しぶりに家族に会う時のような気まずさが少しありました(笑)」
朝井「私はユーフォのスタッフさんとは久しぶりに会ったので、『この4年間でどんなことをしてきたのかマイク前で見せて』と言われているような感覚になりました。試されている感じというか」
豊田「恥ずかしさじゃないけど、その試されている感じを感覚的に肌で感じるから、独特なのかもしれないね」
朝井「空気感は穏やかなんですけど、オーディションのような緊張感もあるよね」
豊田「確かにそうかも。だからこそ毎回ユーフォのアフレコに臨む時はいつも以上に気合を入れてなきゃと思うことが多いかもしれないです」
――お二人が演じられたキャラクターの成長する過程も魅力のひとつですよね
朝井「葉月は初心者という立ち位置だったので、吹奏楽に今まで触れてこなかったお客さんと同じ目線でいられるキャラクターだったんですけど、そこから下級生も入ってくることによってどんどん成長していって、コンクールに出たいという思いやもっと上手くならなくちゃという意欲が見られるようになりましたよね。北宇治カルテットの中でも分かりやすく成長したキャラクターなんじゃないかなと思います」
豊田「緑輝に関しては一貫してそんなに変わってないんですよ。元から確固たる自分を持っているタイプですし、自分の演奏に自信を持っていますし、いい意味でカルテットの中でも変化が少ないキャラクターだと思います。でも、私から見て唯一変わったなと思うところは、最初の頃はキラキラネームをいじられることに対してすごく恥ずかしそうにしていたのが、今は笑ってネタにできるようになったところですね」
朝井「確かに!最初はすごく恥ずかしそうな顔してたもんね(笑)」
豊田「私から見た印象でしかないんですけど、そういうところの強さを緑輝から感じますね」
――本作は吹奏楽部を舞台に青春を謳歌していくストーリーですが、お二人はどのような青春時代を送られましたか?
朝井「私は中学では運動部に入っていたのですが、高校ではもっと自分の時間が欲しいと思って美術部に入ったんですよ。美術部では作品を作る傍ら、漫画を読んだり、おしゃべりしてたり、自由にみんなで遊んでいたんですけど、大人になってもその関係性は全く変わらずに、今でも定期的に集まっています」
豊田「私は "ザ・青春"を送ってきたタイプで、小中高で一緒になった友達とは未だに仲良くて、今まで縁が切れた人は1人もいないんですよ。こういう話をすると、意外と周りでは当たり前ではないようで、すごいことだったんだっていうのをに気づいてびっくりしました。私はずっと友達は大切にすることをモットーに生きてきたので、学生時代は充実していて楽しかったです。まさに青春でしたね」
――では最後に本作をこれから観られる方にメッセージをお願いします
朝井「舞台挨拶に立った時に性別年齢関係なくいろんなお客さんが座っているのを見て、ユーフォのすごさというか、作品がどんどん年を重ねるごとに広がっていっているなというのを肌で感じました。新生・北宇治高校の第一歩として、すごく素敵に描かれているので、劇場でぜひ楽しんでいただきたいなと思います」
豊田「いろんな方から『ユーフォ見てました』とか、『ユーフォを見て楽器を始めました』という言葉をいただいて、こんなにもユーフォの魂がいろんな方に受け継がれているのを知ってとても嬉しかったですし、改めてみなさんに感謝を伝えたいなと思いました。アンサンブルコンテスト編を見て、その後に続く『響け!ユーフォニアム3』も楽しみに待っていただけたら嬉しいです!」
取材・文=川崎龍也
公開情報
特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~
2023年8月4日(金)公開
詳しくはこちら