ラブストーリーに特化した朗読劇シリーズ「恋を読む」の第2弾が、ヒューリックホール東京で開催された。今回は契約結婚を題材にし、新垣結衣&星野源共演のドラマが社会現象にもなった「逃げるは恥だが役に立つ」を舞台化。10月2日~6日にわたって全10公演を、声優や2.5次元俳優など多彩なジャンルから集まった4組の実力派キャストが、日替わりで演じた。今回は、津崎平匡役を梶裕貴、森山みくり役を生駒里奈、風見涼太役を有澤樟太郎、土屋百合役を濱田めぐみが務めた公演の模様をレポート。なお、本記事はネタバレを含みます。
本作は、小遣い稼ぎで家事代行業をしているみくりが、利害関係の一致から訪問先の平匡と契約結婚するラブコメディー。ステージは上下2段に分かれ、4人の登場人物のみで行われた。スポットライトによる話し手の切り替えや、3Dマッピングを使用した演出で、リズミカルに物語が進んでいく。
ステージ上では、男女の真面目な会話が巧みなセリフ回しで繰り広げられた。冒頭から、物語を動かす存在のみくりを、生駒が力強い快活な演技で表現。対する梶は、冷静沈着で論理的な性格の平匡を淡々と演じながら、みくりを下の名前で呼ぶだけで一苦労したり、風見より好きだと言われた時には「すごい破壊力だ!」と、みくりの言葉に酔いしれる演技を見せるなど、そのギャップで会場を笑わせた。
さらに、舞台では名シーンや名ゼリフも再現され、契約結婚を悟らせないために2人が口にした「出しましょう親密感、醸しましょう新婚感」や、新婚旅行で初キスをした後の平匡の「鬼スルー」など独特な言い回しを、生駒と梶が観客に訴えかけるように披露した。
一方、風見役の有澤と百合役の濱田は、みくりと平匡とは対照的に大人の恋愛を熱演。前半は距離のあった2人も、百合のエッフェル塔のキーホルダーを風見が一緒に探したことで急接近。徐々に打ち解けていく様子を会話のテンポで見事に表現してみせると、間の取り方や落ち着いた声音を駆使して場の雰囲気を作り出し、観客の視線をくぎ付けにした。
舞台が2部に入ると、過去の恋愛エピソードや今の恋愛観を互いに伝え合うしっとりとした展開に。クライマックスでは「年が近かったら」と自分の気持ちに素直になれない百合に、「振られた後も好きだ」と答える風見の男らしさを有澤が体当たりで演じた。また、本当の夫婦になるために平匡がみくりにプロポーズしたシーンでは、結ばれた2人が1つの台本を一緒に持つ演出に、会場は温かい雰囲気に包まれた。
ラストは、夫婦になった平匡とみくりの新生活経過報告会議。温かい雰囲気に包まれたステージが一転、掃除の質の低下が気になる平匡と、部屋が汚くても気にならないみくりのトークに花が咲き、驚きを露わにする梶の表情と、開き直った生駒の話すテンポが笑いを誘った。さらに、寝る前のハグや起きた後のキスをしたいと言い合う2人が「恥ずかしくて死ぬ!」とはにかむ姿に、この日一番の笑いが起こった。そのまま2人の楽しそうな笑い声が会場に響き渡り、盛大な拍手に包まれながら舞台は幕を下ろした。
※舞台写真は観劇日10/4の写真です
文=永田正雄
公演情報
恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』名古屋公演
日程:2019年12月7日(土)、8日(日)
会場:愛知・名古屋市芸術創造センター
出演者:
12月7日(土)14:30 吉沢悠、生駒里奈、石川界人、朴璐美
12月7日(土)18:30 吉沢悠、生駒里奈、石川界人、友近
12月8日(日)13:30/17:30 細谷佳正、妃海風、★矢田悠祐×★春野寿美礼
★=名古屋公演から参加する新キャスト
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