90年代カルチャーと切っても切れないソフィア・コッポラの存在感

第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『The Beguiled / ビガイルド 欲望のめざめ』(邦題)が、2月23日より公開される、ソフィア・コッポラ監督。今や女性監督という形容詞抜きに、世界を代表する監督に成長した彼女。奇しくも2018年は監督デビュー20周年でもあり、記念のメモリアル・フォトブック『Andrew Durham Set Pictures Behind the Scenes with Sofia Coppola ソフィア・コッポラ監督20周年記念メモリアル・フォトブック』も2月に発売される。こちらは日本のみの発売ではあるが、監督自身にフォーカスしたフォトブックが発売されるということ自体が、稀代のカリスマ性を示している。

映像もファッションブランドもクリエイトに貪欲な20代

名監督、フランシス・フォード・コッポラを父に持ち、兄弟たちも映画関係のクリエーターという映画の名門一家のサラブレッドのソフィア。今やカンヌで監督賞、2003年公開の『ロスト・イン・トランスレーション』ではアカデミー脚本賞を受賞するなど、映画界のトップに位置する。また映画監督であると同時にファッションデザイナーでもあり、自身もルイ・ヴィトン、カルティエとのコラボレーションのアイコンとしても、多くの女性たちの憧れの的でもある。

そんなソフィアは、現在アラフォーの女性たちが青春時代を過ごしていた90年代、これまでにない才能とルックスを兼ね備えた新鮮なアイコンとして注目されていた。

1995年に、カリフォルニア芸術大学で共に学んでいた友人と共にファッションブランドMILKFED.(ミルクフェド)をスタート。日本でもカジュアルでありながら、音楽やアートなどに敏感な女の子たちのライフスタイルを彩った。さらに当時、ファッションと新しい音楽シーンも切っても切れない関係にあり、ソフィアはソニック・ユースのミュージック・ビデオ『Mildred Pierce』にも出演。ちなみにソニック・ユースの女性ベーシスト、キム・ゴードンはミュージシャンと並行してファッションブランドX-girl(エックスガール)を手がけていた。またX-girlは、もともと男性向けのXLARGE® (エクストララージ)から派生しており、そちらはあのビースティ・ボーイズが立ち上げたことでも有名。このように90年代のストリート・カルチャーの真っ只中に、ソフィア・コッポラは存在していたのだ。

最初の夫、スパイク・ジョーンズ監督のミュージック・ビデオに出演も

音楽シーンの主要人物たちとの交流から、のちに結婚することになる監督スパイク・ジョーンズとの出会いも90年代だった。スパイクが監督したケミカル・ブラザーズのミュージック・ビデオ『Elektrobank』では、なんと新体操の選手役でソフィアが出演。先鋭的なダンスミュージックで演技するという違和感は、スパイクの演出だとしても、彼女のクールな表情が旧来の価値観を吹き飛ばす痛快な仕上がりとなった。

その後、30、40代と年齢を重ねても、彼女のその時々のファッションが同世代に人気なのは、90年代当時のリアルなストリート・カルチャーを牽引していたからに相違ない。名門コッポラ家の名誉や血統におもねることなく、自らロックやヒップホップ、ダンスミュージックの世界に飛び込み、チャレンジしてきた20代の経験が、重厚な作品を作るようになった今も、型にはまらない監督としての仕事に生きているのだろう。

Writer:石角友香

※この記事はヨムミル!ONLINEの転載になります。

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放送情報

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』公開記念 ソフィア・コッポラ監督特集

ヴァージン・スーサイズ

ロスト・イン・トランスレーション

マリー・アントワネット(2006)

SOMEWHERE

ブリングリング

2018年2月17日(土)11:30~5作品一挙放送

チャンネル:スターチャンネル1 プレミアム

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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