卒業を控えた宙組トップスター・真風涼帆が対照的な2役を演じ分けた宝塚歌劇「バロンの末裔」

真風涼帆
真風涼帆

今年6月に卒業を控えた宙組トップコンビ・真風涼帆、潤花が2021年の全国ツアーで出演した「バロンの末裔」。物語の舞台は、20世紀初頭のスコットランド。軍の一員として海外に駐留していたエドワード(真風涼帆)は、男爵家を継いだ双子の兄ローレンス(真風・二役)が病に倒れたとの知らせを受け、帰国する。

ところが、故郷の男爵家は全財産を失い、家も土地も担保として銀行に差し押さえられていた。怪しげな投機話に兄ローレンスが乗ってしまったのである。だが、この事件には裏がありそうだと睨んだエドワードは、友人リチャード(桜木みなと)らの協力の元に調査を開始した。そして、思いがけない事実が明らかになる。
 
男爵家では、病弱な兄ローレンスを婚約者であるキャサリン(潤花)が懸命に看病していた。しかし、久しぶりに再会したエドワードとキャサリンは互いに心に秘めてきた想いを再燃させる...。

脚本・演出は正塚晴彦。元々は1996年、月組トップスター久世星佳のサヨナラ公演のために書き下ろされた作品だ。だが、再演となる今回も、主要なキャストがはまり役だった。

主演の真風涼帆は2018年のトップスター就任以来、「オーシャンズ11」のダニー・オーシャン、「アナスタシア」のディミトリ、そして「HiGH&LOW-THE PREQUEL-」のコブラなど、幅広い役どころで多彩な魅力を発揮してきた。そして現在、退団公演となる「カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~」のジェームズ・ボンド役で、集大成ともいえる完璧な男役像を見せている。

その真風による対照的な2役の演じ分けが、この作品の一番の見どころといえるだろう。弟エドワードの方は、孤独で屈折した心を押し隠した役どころでありながらも、持ち前の明るさが作品全体を照らし出す。いっぽう兄ローレンスの方は、いかにも長男らしい芒洋とした雰囲気が可笑しみさえ感じさせる。お人好しで騙されやすいこの兄、一見エドワードとキャサリンの忍ぶ恋のこともまったく気付いていないように見えるが、本当のところどうなのかは、見てのお楽しみである。

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放送情報

バロンの末裔
放送日時:2023年5月14日(日)21:00~
放送チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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