STU48は台風の目となれるか！？

AKB48をはじめ、名古屋の栄を拠点とするSKE48、大阪・難波のNMB48、博多のHKT48、新潟のNGT48といった姉妹グループが活躍中。それらに続く、国内姉妹グループとして2017年に誕生したのがSTU48だ。グループ名の「STU」が"瀬戸内"に由来している通り、これまでの姉妹グループと違い、拠点が一つではなく、瀬戸内地方の７県（広島、山口、岡山、香川、愛媛、徳島、兵庫）が活動の舞台となっている。さらに、定期公演などが行われる劇場も"船上劇場"が採用されるなど、瀬戸内海周辺という土地柄が生かされているのも大きな特徴と言える。

2017年の1月に第1期生の募集を行い、2月にAKB48の岡田奈々がキャプテンとしてSTU48と兼任することが決定。さらにHKT48の指原莉乃もSTU48との兼任、およびSTU48劇場支配人を務めることが発表された。5月には広島で開催された「2017ひろしまフラワーフェスティバル」でメンバーのお披露目が行われ、初のオリジナル曲「瀬戸内の声」がAKB48の48thシングル「願いごとの持ち腐れ」のカップリング曲に収録。7月には、メジャーデビューシングルが11月1日にされることが発表されるなど、順調なスタートを切った。

しかし、ここでいくつか大きな出来事が起こった。まずは、船上劇場の完成の大幅な遅れ。完成予定日が未定となり、それに伴い、メジャーデビューのタイミングも妥当ではないと、1stシングルのリリースも約3ヶ月後の2018年1月31日に延期された。そして、キャプテン岡田奈々と共にグループを牽引していくことを期待されていた指原莉乃が、11月25日の「瀬戸内7県ツアー〜はじめまして、STU48です。〜」の広島公演でSTU48との兼任解除と劇場支配人の兼務を終了することが発表された。メンバーたちにとって、大きな試練が続いてしまったが、船上劇場の完成延期に関しては、安全性を含めてしっかりとした拠点を作るということを考えると納得でき、劇場公演ができない状態の中でデビューシングルを発表するよりも、グループとしての結束力をより固めた状態で発表した方がいいと考えるとリリースの延期も前向きに捉えられる。そして指原莉乃の兼任解除に関しても、キャプテン岡田とメンバーたちの関係の良好さを見て、指原自身がHKT48と改めて向き合いたいと思ったという理由であり、指原にとっても良い刺激を受けたと考えれば、こちらも前向きに捉えることができるのではないだろうか。

結成は2017年だが、今年2018年がSTU48にとって本格的なスタートの年となる。1月31日にデビューシングル「暗闇」をリリースし、オリコンのウィークリーランキング１位を獲得。センターを務める瀧野由美子はAKB48のシングルでも「11月のアンクレット」で初選抜入りし、「ジャーバージャ」「Teacher Teacher」と続けて選抜メンバーに入るなど、グループの顔として注目度がぐんぐん上昇している。キャプテンの岡田奈々も１月にリリースされたAKB48の最新アルバム『僕たちは、あの日の夜明けを知っている』のリード曲「靴紐の結び方」のセンターに選ばれ、3月にリリースしたシングル「ジャーバージャ」でシングル表題曲初のセンターに抜擢。その勢いはSTU48のメンバーたちにも大きな刺激と影響を与えた。

6月16日（土）にはナゴヤドームで10回目のAKB48選抜総選挙が開催される。昨年、沖縄で開催された総選挙ではキャプテンの岡田以外は誰もランクイン（上位80位）できなかったSTU48。しかし、今年は違う。「総選挙公式ガイドブック2018」の表紙メンバー16名の中に、岡田だけでなく瀧野も選ばれており、上位へのランクインが期待されている。この二人以外にも、昨年末のNHK紅白歌合戦の選抜メンバーにも選ばれた「女子力」の高い土路生優里、王道アイドルのきらめきが感じられる岩田陽菜、ダンス面でグループをリードする磯貝花音も注目度が高い。劇団れなっちの「ロミオ＆ジュリエット」のオーディションで役を勝ち取った薮下楓は、姉（元NMB48の薮下柊）ゆずりのトーク力の高さで、ライブでもMCでその能力を存分に発揮している。もちろんアイドルとしての実力・才能も高く、瀧野のようなグループの顔になりうる存在だ。そんなSTU48のメンバーが、身体を張った過酷な企画にもチャレンジするなど、奮闘しているのが、現在ファミリー劇場で放送中の「STU48 イ申テレビ」だ。普段は見せない素の表情や頑張る姿を見ることができ、個性豊かな彼女たちの魅力を存分に楽しむことができる。

昨年の総選挙は荻野由佳や本間日陽などNGT48のメンバーが大躍進したが、今年の総選挙はSTU48が大きな風を起こしそうだ。

文＝田中隆信

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