乃木坂46の3期生が殻を破る覚悟で挑んだ舞台「星の王女さま」

フランスの作家、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの名作「星の王子さま」をモチーフにした舞台「星の王女さま」が、畑雅文の脚本・演出によって今年4月に上演された。この作品が、6月8日(金)にTBSチャンネル1で放送される。

愛で育てた"バラ"を自らの星に残して旅する王女さまと、飛行機の部品を探して惑星間を飛び回る宇宙飛行士・リンドバーグが、個性豊かな人々と出会いながら「生きること」「愛すること」の意味を学んでいくSFファンタジー。コメディー要素も強いこの作品に、乃木坂46の3期生・伊藤理々杏、岩本蓮加、梅澤美波、阪口珠美、佐藤楓、中村麗乃、向井葉月、吉田綾乃クリスティーが出演している。

歌&ダンスも本作の大きな見どころ。アイドルとしての本領が発揮される

大園桃子、久保史緒里、山下美月、与田祐希の4人を除くメンバーで挑んだ今作。初演の直前に行われた記者会見では「寂しさや不安はあるけど、この8人でいいものをお届けしたいです」(伊藤)、「"4人がいない8人"だと思われたくありません。わたしたちに与えられた試練だと思うので、これを乗り越えたいです」(梅澤)と意気込みを語った姿が印象的だった。

本作のメインキャラクター・王女さま(伊藤)とリンドバーグ(梅澤)

その伊藤は"王女さま"役で出演。乃木坂46で唯一、沖縄県出身の彼女は端正な顔立ちからボーイッシュなイメージもあるが、劇中では魅力的な王女さまに変身。メインキャラクターのため歌唱パートでの出番も多く、演技との両面で存在感を示した。一方の梅澤は"リンドバーグ"役を好演。グループいちの長身(170cm)を誇りもともと舞台映えは抜群だが、無邪気な発言が多い王女さまに対して冷静に言葉を紡ぐ姿は、3期生のリーダー的ポジションを務める彼女にぴったりの役だったと言える。リンドバーグ同様、王女さまとのシーンが多い"バラ"役を演じた岩本は、グループ最年少らしい初々しさを発揮した。

真っ赤な衣装に身を包んだ"バラ"役の岩本は乃木坂46の最年少メンバー

王女さまとリンドバーグが最初の惑星で出会うのは、日々、SNSの更新にいそしむ"さなえ"。これを演じた阪口は、素の彼女が持つおっとりした一面を残しつつもキラキラ感のある女子を見事に表現した。次の惑星で出会うキャリアウーマン"ナオミ"役の中村も、普段とは真逆と言える勝気なキャラクターで新たな魅力を放つことに成功。また、次の惑星に住むフリーターの"紀伊国坂"は、「かつて劇団に所属していたものの演技が下手で退団した」という経歴を持つ、舞台作品の登場人物としては皮肉な役どころだが、演じた佐藤はこれ以上ないぐらいの絶妙な空気を放っている。

さなえ役の坂口(右から2人目)とナオミ役の中村(右端)はマイクを使ったバトルも展開

4つ目の惑星で出会う"マヤ"は潔癖症という設定だ。会見時、マヤ役の吉田は「わたし自身は潔癖症じゃないので気持ちを作るのに苦労しました」と告白したが、ゴミを嫌がる表情はピカイチ。また、最後の惑星に住むオタク"どれみ"役の向井は、3期生きってのコメディエンヌとして知られており、その真価をいかんなく発揮。家の中ではハイテンションでも外に出ると一気にテンションが下がるという二面性のある役を、最大限のギャップで表現して観客の笑いを誘っている。

ファンタジーな世界観を生み出す光の演出や衣装にも注目したい

最もまっとうな登場人物であるリンドバーグを演じた梅澤が「稽古が始まったころは、周りのキャラが濃すぎて迷走してしまいました(苦笑)」と話すほど、個性が強すぎるキャラクターぞろいの本作。それを演じた乃木坂46の3期生たちは、どこまで振り切って表現できたのか?成長いちじるしい彼女たちが、殻を破る瞬間を見届けてほしい。

文=大小田真


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放送情報

星の王女さま

放送日時:2018年6月8日(金)23:00~

チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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