飯豊まりえが「ひねくれ女のボッチ飯」で見せたオーラの無さと底なしの表現力

「ひねくれ女のボッチ飯」(ファミリー劇場)
「ひねくれ女のボッチ飯」(ファミリー劇場)

ドラマ、映画に加え声優としても活躍する女優、飯豊まりえ。そんな彼女の演技力が十二分に堪能できる作品がドラマ「ひねくれ女のボッチ飯」だ。

同作品は、人付き合いが苦手で友達もいない「ひねくれ女」のつぐみが、誰ともつながらない孤独の食事「ボッチ飯」を楽しむ姿を描く新感覚グルメドラマ。つぐみは、ある日「ホワイトホース」という名のインスタグラムのアカウントに出合う。顔も名前も分からないが、妙に魅力的な食事の写真と、自分と似た理不尽な境遇が綴られた投稿に魅力を感じ、「ホワイトホース」を自分の「白馬の王子」だと信じて、彼と同じ物を食べることに。「ホワイトホース」と同じ物を食べる「ボッチ飯」を経て、彼とつながれたように感じ始めたつぐみにとって、それが日々の楽しみになっていく。飯豊は主人公のつぐみを演じている。

(C)テレビ東京

この作品での飯豊の演技について語る上でまず触れておかなければならないのは、"オーラの無さ"だろう。つぐみはやりたかったデザインの仕事を辞めて現在はコンビニのアルバイトで生計を立てており、第1話から彼氏にも振られてしまうという残念な女性で、覇気がなく存在感も薄い。一方、飯豊といえば、さまざまな役を演じて作品を彩る女優業に加え、人気女性ファッション誌の専属モデルも務めているいわば"キラキラ女子"の代表格で、キャラクターとしては真逆。だが、同作の中でつぐみとして生きる彼女は、キラキラ要素など微塵もなく、圧倒的な"オーラの無さ"に飯豊が演じていることを忘れてしまうほど。演技において存在感を強めることはできても、それを無くすのは段違いに難しいのだが、それを難なくこなしてしまうポテンシャルの高さに言葉を失ってしまう。

(C)テレビ東京

さらに、見逃せないのは"底なしの表現力"だ。「ボッチ飯」というテーマであるため、つぐみの台詞はほぼなく、物語の9割がモノローグで進行していくのだが、演技だけに着目すると、モノローグに合わせて目線や表情を変えていることに気付く。視聴者目線ではすんなりと受け入れられるものでも、演じる側から見ればつぐみという役柄は台詞以外の表現方法でしか感情を伝えられない難役なのだ。撮影現場ではモノローグを流しながら演技をしたのか?通常モノローグは後日別撮りされることが多いため、撮影時には無音での感情表現に徹したのか?どちらの方法で制作されたのか分からないが、どちらのパターンにしても彼女の表現力は底なしといえるだろう。

普段発しているオーラを制御し、動きやリアクションがうるさくならない範囲の中で、言葉を使わない芝居を駆使して細やかに感情を表現していく飯豊の女優としての"底なしの表現力"を、グルメの画力と共に味わってみてほしい。

(C)テレビ東京

文=原田健

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放送情報

ひねくれ女のボッチ飯
放送日時:2023年1月8日(日)1:50~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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