
(C)共同テレビジョン
依子と巧の初デート後の船内で、依子が巧に惹かれた理由を説明するシーンでは、顔を輝かせる依子の背後でその言動が理解できずに不思議そうな表情で佇む豊。依子と巧が「結婚に恋愛感情は必要ない」との意見で一致した時も、「結婚に必要なのは愛情だ」との信条を持つ豊はうろたえるばかりだ。挙げ句「展開についていけない...」とこぼす姿はやるせなさに満ち溢れている。
その後も依子からクリスマスプレゼントを誤って受け取って狂喜したり、クローゼットの中でうなぎパイを握りしめてすすり泣くシーンなどがあるが、何があろうとまっすぐな豊役を中島がしっかり演じているからこそ、依子と巧の個性が際立ち、ストーリーが盛り上がっていく。
物語の中盤で巧に「依子さん、奪ってみせます」と宣戦布告をしてからは、豊がより物語の前面に出てくる。依子に交際を求める時の真剣な表情、また依子との初デートではイキイキとした幸せな空気を纏い、依子がより美しくなるよう服やコンタクトをプレゼントしたりもする。好青年である豊が依子を愛する気持ちが、ごくごく自然に伝わる演技を見せてくれる。
そして紆余曲折を経て迎えたラスト前において、依子自身さえ気づいていなかった彼女の気持ちを知った時の潔い号泣には、多くの視聴者が瞳を潤ませることだろう。その瞬間は中島ではなく、「依子を愛していた鷲尾豊」が確かに画面の中にいる。そう言っても過言ではない名シーンだ。
本作は第84回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞など5部門を受賞、他のドラマ賞でも受賞するほど高い評価を得た作品だ。中島をはじめ杏や長谷川博己の演技、そして秀逸なシナリオと構成を、それぞれの恋模様に泣いたり笑ったりしながら、ぜひ楽しんでほしい。
文=堀慎二郎
放送情報
デート~恋とはどんなものかしら~
放送日時:2023年2月11日(土)23:45~、2023年2月13日(月)1:10~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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