2月10日(金)から上演される「音楽劇『逃げろ!』~モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ~」。この作品は、モーツァルトの3本の傑作オペラ「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」の台本を書いたイタリアの詩人で台本作家のダ・ポンテの奇想天外な"逃げる"人生を史実に基づき、ロックアレンジされた疾走感あふれる音楽にのせて鋭く描き出す作品となっている。
ダ・ポンテ役の橋本良亮(A.B.C-Z)、モーツァルト役の佐藤流司をはじめ、村井國夫、篠井英介、細見大輔、弓木大和、内河啓介といった錚々たるキャストが集結。昨年7月に日向坂46を卒業した渡邉美穂も、自由奔放なイタリア人女性、"ココ"役で出演する。渡邉にとって、「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」以来、約4年半ぶりの舞台。今回のインタビューでは、演じる役柄、そして本作への想いなどを語ってもらった。
――久しぶりの舞台作品ですが、出演が決まった時の気持ちは?
「これまでに舞台のお仕事は2回しかやったことがなくて、最後に出たのが4年半ぐらい前なので、かなり久しぶりということで『大丈夫かな?』という気持ちがありました。それと、一緒に出演するキャストの皆さんの並びを見て、『とんでもないところに入ってしまったな』という衝撃的な思いもありました。でも、稽古の段階から皆さんのお芝居を見ていて、学ぶべきところや吸収できるものがたくさんあるので、今はこの機会を無駄にしないように頑張ろう!と思っています」
――18世紀のオーストリア。モーツァルトの時代のお話ですが、台本を読んでみての感想は?
「正直、最初は『難しい言葉がたくさんあるなぁ』って思いました(笑)。昔のヨーロッパの音楽史みたいな感じで、私がその時代の出来事にあまり馴染みがなかったというのもありますけど、『意外とお堅い劇なのかもしれない』って思っていました。でも、これも稽古が始まって進んでいくうちに、昔のことを扱っているものの、面白おかしく、そして分かりやすく、音楽を交えながら伝えているので、思っていた印象と全然違いました。馴染みのない若い世代の方もすごく見やすい作品だと思います」
――演じる"ココ"はどんな女性ですか?
「自由奔放でちょっとお茶目で可愛らしい部分を残しつつ、軸があって強い女性というのがテーマにあります。なので、喋り方や動作で『この人はすごく自立してる強い人なんだな』っていうのを皆さんに印象づけられるようにしながら、要所要所で自由奔放な雰囲気を伝えられたらいいなと思っています。今は稽古で、その塩梅を調整しているところですね」
――台本を読むと、テンポのいい会話劇のようにも感じました。
「会話がテンポよく進んでいきますので、見てる方も気持ちいいんじゃないかなと思います。それと、キャストの皆さんが自由にアドリブを取り入れたりされてるので、私的には笑いどころも多い作品だなって。ただ、シリアスなシーンでは間(ま)だったり空気感を大事にして演じているので、そういった緩急も楽しんでいただけるんじゃないかと思っています」
――ココの台詞も、会話の中でいいテンポを作り出していますよね?
「そうなんです。ポンポンポン!と相手の言葉を引き出すための台詞が多いんです。一瞬でも遅れちゃうとテンポが乱れてしまって一気に空気感を壊しちゃうので最初は苦戦しました」
――ダ・ポンテやモーツァルト、カサノヴァといった人物についても理解が深まってきていますか?
「はい。ダ・ポンテのことは知らなかったので『こういう人なんだ』って勉強になりましたし、モーツァルトもこの物語の中だとかなりやさぐれてる感じがあって、佐藤さんが演じているのを見ても『やさぐれ感』がありました(笑)。でも、やるべきことはきちんとやるので、やっぱり天才だなぁって。あと、カサノヴァ役の細見さんに『これを見ておくとその時代のこととか、その時代の女性たちがどういう雰囲気だったのか掴めると思うから参考にしてみるのもいいかもね』って、カサノヴァが題材となった映画を勧めていただいて、見ました。おかげで演じる役の人物像が掴みやすくなった気がします」
――そして『音楽劇』ということで、音楽もかなり重要ですよね。
「皆さんが聴いたことのあるクラシックの曲がロックアレンジになっているので、知ってるけどまた新鮮に聴こえるのですごく魅力的です!」
――改めて、この作品の見どころを教えてください。
「昔のヨーロッパが舞台なので、私のようにあまり馴染みがないという方もいらっしゃると思うんですけど、そういう方にはフラットな気持ちで見てもらえたらいいなと思っています。音楽劇ということで、生のバンドが演奏してくれますし、音楽も会話もテンポが良いので、この世界観に入り込んで楽しんでもらいたいです」
――久しぶりの舞台ですし、楽しみですね。
「まだそんなに実感が湧いてきていないんですけど、ゲネプロあたりで実感し始めて緊張するんだろうなぁと思いますね(笑)。人前でお芝居するのが久々なので、間違いなく緊張すると思いますけど、こんな機会を頂けましたし、いい成長の機会だと思って楽しくやっていきたいなと思います」
――福岡、大阪、東京の3都市で上演というのも嬉しいですね。
「私、舞台で地方公演はやったことがなかったので楽しみです。場所が変わると雰囲気も違ってくると思いますし、どんな感じになるのかなってワクワクしています」
――舞台やドラマなど、お芝居の仕事が増えてきていますが、どんな役に挑戦してみたいですか?
「シリアスな作品をやってみたいです。これまで、極端に性格が悪い役とか(笑)、コメディ要素のある面白い役とかが多かったので、シリアスでかっこいいところも見てもらいたいなって思います」
――2月24日に23歳の誕生日を迎えますが、抱負を聞かせてください。
「誕生日当日もこの舞台の上演があるんです!それがすごく嬉しくて。抱負としては、去年の秋に事務所を移籍したりして環境がガラッと変わりました。4か月ぐらい経ってようやく慣れてきたところなので、いただくお仕事一つ一つを追求してさらに深いところまで行けるように頑張りたいと思います」
文=田中隆信 撮影=皆藤健治
舞台情報
音楽劇『逃げろ!』〜モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテ〜
<福岡公演>
2023年2月10日(金)~12日(日)
キャナルシティ劇場
<大阪公演>
2023年2月17日(金)~19日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
<東京公演>
2023年2月21日(火)~3月1日(水)
新国立劇場 中劇場
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