中谷美紀田中圭が演じる、史上初の女性総理大臣と平凡な夫のギャップが面白い!原田マハの小説を原作とした映画「総理の夫」

史上初の女性総理大臣が誕生したことで日本初の"総理の夫"となった男性が、政界で妻を支えながら激動の日々に巻き込まれていく「総理の夫」は、原田マハの同名小説を中谷美紀・田中圭の共演で映画化した政治エンターテインメントだ。

(C)2021「総理の夫」製作委員会

鳥類学者の日和(田中圭)は、結婚10年目になる妻の凛子(中谷美紀)から「もし私が総理大臣になったら、何か不都合ある?」と唐突に尋ねられる。その真意を図りかねたまま日和は10日間の出張に出かけるが、電波も届かない土地で過ごす間に、凛子は日本初の女性総理大臣に選出されていた。自身も史上初の"総理の夫"となった日和は政治のことなど右も左も分からないまま、全力で妻の夢を支えようと奮闘する。

原作小説の発行から10年以上が経った今でも、女性の総理大臣はいまだに誕生していない。その意味で未知なる難役に挑むことになった中谷美紀だが、この作品は彼女の存在なしには成立しなかっただろう。凛子は人々のための政治という高い理想、臆することなく前進する行動力、弱い人に手を差し伸べる包容力をあわせ持つ、まさに完璧なリーダーだ。原作者の原田マハは凛子について「頭の中で完全に中谷さんを妄想していた」と語っており、中谷は堂々たる総理大臣の姿をもって"妄想"に命を吹き込んだ。その一方で、完全無欠の凛子でも壁にぶち当たってしまうこともある。史上最年少の総理大臣の両肩にのしかかる重圧がどれほどのものか、中谷は見る者の胸を締めつけるような切実さで、その重さを訴えかけてくる。

(C)2021「総理の夫」製作委員会

凛子を支える夫・日和を演じるのは、ドラマから舞台まで縦横無尽の活躍を見せる田中圭だ。輝かしい経歴を持つ凛子に比べれば、日和はいたって普通に見える。"普通"の人、しかも今作のような"巻き込まれ型キャラ"を演じさせれば、田中の右に出る者はいない。コメディ要素も多い今作で、田中は絶妙な間合いをもって視聴者の笑いを引き出してくれる。鳥類学者である日和は財閥の息子ながら財界には興味がなく、妻の凛子が突き進む政界にも明るくない。しかし期せずして総理の夫となった日和は、凛子を応援したいという一心で少しずつ変わり始める。その思いが彼にもたらした一世一代の決意と、日和の決意に形を与えた田中の力強い演技は、観客たちの胸を打つに違いない。

"普通"な日和を除いては個性的なキャラクターばかりが登場し、そのコントラストがコメディ要素として生きている本作。凛子の右腕である生真面目な広報担当を演じる貫地谷しほり、日和の上司役である木下ほうか、日和の兄で嫌味なCEOに扮する片岡愛之助など、共演者によるクセの強いキャラたちに振り回される田中の姿も魅力の一つだ。笑いの要素や凛子と日和をつなぐ夫婦の固い絆に加え、女性総理大臣の奮闘を通して社会問題にも光を当てる政治エンタメに仕上がっている。

文=本永真里奈

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放送情報

総理の夫
放送日時: 2023年1月31日(火)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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