ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」でヒロインを演じ、櫻井翔とW主演の映画「映画 ネメシス 黄金螺旋の謎」が間もなく公開される広瀬すず。そんな広瀬の姿が鮮やかに視聴者の記憶に刻まれているのが、記念すべき朝ドラ100作目のヒロインを務めた「連続テレビ小説 なつぞら」だ。広瀬の役は戦争で両親を亡くし、兄や妹とも離れ離れになり、北海道の十勝の酪農一家にひきとられた奥原なつ。思春期になったなつは、馬の絵を描く少年・山田天陽に影響を受け、やがて上京。当時、「漫画映画」と呼ばれていた世界に飛び込み、アニメーターとして活躍する。波乱に満ちたなつの半生をまさに"なつぞら"のように明るくキラキラと演じたことでも話題になった。
そんな本作の#79-#84が3月5日(日)にチャンネル銀河で無料放送される。
#79-#84で描かれるのは昭和34年。東洋動画に入社して3年、短編の漫画映画制作の原画を麻子(貫地谷しほり)とともに任されるというチャンスの中、北海道からの1本の電話がなつを激しく動揺させる。第14週「なつよ、十勝さ戻って来い」で広瀬すずが見せた揺れる演技と溢れ出る涙とは?
■生き別れた妹(清原果耶)が柴田家に来ていると知って兄(岡田将生)と十勝へ
5才で親戚の家に預けられて以来、行方が分からなかった妹の千遥が十勝の柴田家を訪ねてきたと知って、脳裏に幼い頃、焼け跡で過ごした日々が蘇り、なつは涙を流す。会社に事情を話して休みをとり、兄、咲太郎(岡田)と2人で十勝に向かうことにするが、なぜか、千遥はなつには会いたくないと言っているという。受話器を握りしめ、「お姉ちゃんだよ」と話しかけるが、敬語でしゃべる妹の言葉が離れていた月日を感じさせる。18才になった妹を想像し、1人にさせていて申し訳ないという気持ちと今すぐにでも会いたいという想いが交錯し、なつは「お願いだから、そこで待っていて」と千遥に懇願する。その複雑な心情を電話越しに表現する広瀬の演技の細やかさが光っている。
■到着を待たず忽然と姿を消した妹の人生を知って広瀬が流す涙が尊い
温かい柴田家の人々に説得され、なつたちの到着を待つことにした千遥は泰樹(草刈正雄)に「いっしょに働こう」と言われ、乳搾りを体験し、無邪気な笑顔を見せる。が、そこに剛男(藤木直人)に連れられてやってきた兄妹の幼なじみ、佐々岡信哉(工藤阿須加)が千遥にカメラを向けると一瞬で怯えた表情になり、その後、誰にも言わずに姿を消してしまう。結局、なつと咲太郎は千遥に会うことは叶わず、信哉が撮った1枚の写真で千遥の今を知ることになる。本心を明かさずに精一杯明るく振る舞おうとする清原果耶の芝居と妹を思う気持ちをまっすぐに表現する広瀬の芝居のコントラストも見どころ。失踪した千遥から届いた手紙をみんなの前で読みながら涙が止まらなくなる場面では妹が歩んできた道のりが明かされることになる。山田天陽と久々に再会し、お互いの近況を知る第14週は切なくもまた前に踏み出すために通らなければならなかった。孤独に苛まれるなつに泰樹が送る言葉も深い。
文=山本弘子
放送情報
連続テレビ小説 なつぞら#79-84
放送日時:3月5日(日)08:30~
チャンネル:チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら