物語の中での小芝風花の成長に感動！シリーズのファンなら見逃せない映画「妖怪シェアハウス－白馬の王子様じゃないん怪－」

底抜けに明るい笑顔と確かな演技力で、映画やドラマなどで存在感を放つ小芝風花。初主演映画「魔女の宅急便」で注目を集めた彼女は、さまざまな作品にメインキャストとして出演。みずみずしい存在感と親近感の沸く豊かな表情で、瞬く間に人気者となった。そんな彼女の魅力が爆発したのが、2020年放送のドラマ「妖怪シェアハウス」だ。

とりあえず就職できた化学系メーカーの事務職に就くが、やりがいを感じることもなく、無難に社内恋愛して、そのうち結婚、出産かな...と考えていたものの、結婚相手は究極のクズ男で、借金まで背負ってしまった目黒澪。家賃滞納で家を失い、彼氏を頼るも「お前は二番目だ」と捨てられた彼女は、お祓いのために訪れた神社で倒れたことを機に、現代日本に生きる妖怪たちが暮らすシェアハウスにお世話になる。妖怪たちとの交流の中で「作家になる」という夢を見つけ、たくましく成長した澪のその後を描いた連続ドラマ「妖怪シェアハウス－帰ってきたん怪－」の続編となるのが、映画「妖怪シェアハウス－白馬の王子様じゃないん怪－」だ。

出版社で働きながら、作家を夢見る澪は、ひょんなことから若者の間で大流行中のAI恋愛アプリを利用することに。彼女の理想を凝縮したAI恋人にツトムと名付け、心の拠り所にするようになった澪の前に、ツトムそっくりなイギリス育ちのIQ180の天才数学者・AITOが現れる。しかし、彼の登場をきっかけに、澪の周辺では奇怪な事態が起こり出す...。
共に過ごしてきた妖怪たちの愛情に支えられ、タフさを身につけた澪を演じる小芝は、ドラマシリーズで披露していた挙動不審なオーラを封印し、どこかゆったりとした雰囲気で澪を好演。妖怪・山びこでもある超パワハラ上司・上竜樹(安井順平)の毒舌にもめげることなく、自分の企画をよりよくしようとカフェで見知らぬ女子高生にリサーチをかける姿には「澪、成長したね...」と、思わず胸が熱くなるはず。また、数学以外は何も知らないというAITOに対して、母親のように甲斐甲斐しく世話する姿からは、母性すらも感じ取ることができるだろう。

松本まりか演じる四谷伊和ことお岩さん、毎熊克哉が分する酒井涼こと酒呑童子、池谷のぶえが好演する和良部詩子こと座敷童子、そして大倉孝二の軽妙なセリフ回しが光る沼田飛世ことぬらりひょんという、レギュラーメンバーが見せる、息の合った絶妙な掛け合いは、物語の核となる軽妙な雰囲気を支えている。また「スマホの中のAIの恋人」という現代的ツールから生まれる新たな妖怪の存在や、望月歩が演じる天才数学者・AITOと澪との恋の行方も見逃せないポイントのひとつだ。

いつも一生懸命で、妖怪たちのことを誰よりも大切にしているヒロインの成長をユーモラスに描く、異色のホラーコメディー。作品の魅力を知り尽くしたドラマシリーズのスタッフ＆キャスト陣が結集して描く劇場版を通して、日本のエンターテイメント界を牽引する若手実力派・小芝風花の輝きを目撃してほしい。

文＝中村実香

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