「どうする家康」の原点ここにあり?松本潤の時代劇初主演作「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」に再注目

「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」
「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」

NHK大河ドラマ「どうする家康」で主演を務め、これまでの「徳川家康像」を覆す優柔不断で弱気な家康を演じている松本潤。そんな松本が「どうする家康」とは対照的なワイルドでやんちゃな青年を好演した、2008年に公開された映画「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」が、3月25日(土)に時代劇専門チャンネルで放送される。

本作は映画界のレジェンド・黒澤明監督による「隠し砦の三悪人」をリメイクしたアクションエンターテインメント時代劇。監督は2016年に公開の映画「シン・ゴジラ」で第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した樋口真嗣で、劇団☆新感線の座付き作家・中島かずきが脚色を手がけた。

時は戦国時代、隣国に攻められ陥落した小国「秋月」の消えた軍資金を探すため、多くの男たちが駆り出された。例に洩れず秋月の軍資金探しをさせられていた山名の民・武蔵(松本)と新八(宮川大輔)は、隙を見て逃走するが、その道中で偶然にも軍資金を発見。そこへ秋月の武将・六郎太(阿部寛)と雪姫(長澤まさみ)が現われ、取引することになるが...。

共演に阿部、長澤、宮川を迎えて本作に挑んだ松本は、当時、時代劇初挑戦。戦国時代を舞台に、長澤演じる雪姫を命賭けて守る山の民・武蔵を体当たりで演じている。ちなみに黒澤監督によるオリジナル作はジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」の原点になったとされ、作中に出てくる「C-3PO」と「R2-D2」のモデルになったと言われているのが本作で松本と宮川が演じている武蔵と新八。

映画の公開当時、松本は24歳。長澤演じる雪姫との淡い恋が描かれた印象的なシーンや、持ち前の身体能力が生かされたスリリングなアクションシーンも見どころのひとつとなっている。

■野性的ながらアイディアマンでもある青年・武蔵を松本が生き生きと演じる

大国の早川、富に恵まれた秋月、貧困に苦しむ山名。戦国の世にあり、3つの国の支配を目論んでいた山名は隣国である秋月に攻め入って城を陥落させたが、生き残った世継ぎと莫大な軍資金は忽然と消えていた。その軍資金探しをさせられていた武蔵は、危険を察知すると鳴き出す鳥を飼っており、その察知能力のおかげで大爆発の危機から逃れ、逃走中に知り合った新八と行動を共にすることになる。道中、2人は偶然にも金を発見するが、そこに現れたのが秋月の侍大将の六郎太と雪姫だった。

2人は六郎太に捕らえられるが、乱暴者に見えて策士でもある武蔵が取引を持ちかけ、4人は国を抜け出す旅に出ることになる。ボロボロの格好で血気盛ん、サバイバル精神に長けた若者を松本が生き生きと演じ、いつもヘラヘラしている新八と罵倒し合うコミカルな掛け合いがあったかと思えば、雪姫とのロマンティックなシーンではキュンとさせてくれる。武蔵が生まれ育った山名の火祭りに遭遇した時には、「苦しみや辛いことを火にくべて踊り明かす」というのが祭りの由来だと雪姫に説明し、「もしもこの世に戦や身分の差がなければ...」と憂う姫の手をとって、火祭りの真ん中に飛び込んでいく。富もなく名もないが、なぜかついていきたいと思わせる男を松本が魅力的に演じている。

■これぞアドベンチャーな展開を迎える後半戦でも松本が大活躍!

山名のサムライ大将である宿敵(椎名桔平)らに捕らえられた六郎太と雪姫を救うべく、仲間の助けを借りて武蔵が敵地に1人乗り込んでいく後半戦は、息もつかせぬ展開の連続。ハリウッド映画を彷彿とさせるようなアドベンチャー感覚で楽しむことができる。次第に深まっていく六郎太との絆や新八との友情も描かれ、松本がその身体能力の高さを活かして大暴れ。武蔵と雪姫の、国と身分を超えた恋の行方は果たして――。

痛快冒険時代劇というモチーフはそのままに、黒澤監督のオリジナル作を大胆にリメイクした作品だが、かの有名な「裏切り、御免!」というセリフは本作にも違う形で登場。オリジナル版にも負けず劣らずの至高のエンターテインメント作品となっている本作、見比べるのも面白いかもしれない。

文=山本弘子

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放送情報

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS
放送日時:2023年3月25日(土)21:00~ほか
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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