西島秀俊が多面性のある演技で役柄に与える説得力!三上博史主演のクライムサスペンス「ドラマW 誘拐」

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「交渉人」「パパとムスメの7日間」など、数々の著者が映像化されている人気作家・五十嵐貴久の同名小説が原作のクライムサスペンスで西島が演じているのは、警察という巨大な組織内に漂うさまざまな目論見に嫌気がさしている実直な刑事・星野。海外の要人警護と総理大臣の娘を天秤にかけ、手柄としての価値が低そうな誘拐事件の陣頭指揮を押しつけられたことに不満を隠さないタイプだ。

本作での西島は常に固い表情と低く落ち着いたトーンでの口調をキープし、捜査に必要とあらば上司にも激しい態度で意見するなど、星野という役柄に「事件解決が最優先のプロフェッショナルな刑事」という印象を与えることに成功している。一方で、物語冒頭で三上演じる秋月が道端で座り込んでいる際には、優しい口調で話しかけるだけでなく、暗がりの中でも秋月の顔にある殴られた痕を目ざとく見つけて「交番に行こう」と声をかけるなど、星野の情に厚い一面もしっかりと表現している。

捜査の結果、秋月が総理の孫娘誘拐事件の真犯人だと確信し、秋月の自宅を訪れる星野。三上と西島による演技合戦で、秋山に警戒心を抱かせないよう慎重に話を進める星野を、西島は穏やかなトーンを崩さず、淡々と演じる。そこに漂う優しさが星野というキャラクターの魅力を引き立てるが、その後、窓の外を見つめる秋月の肩に勢いよく手を置いて「どうです、外へ出ませんか」と誘い出すシーンでの冷たい表情や声は、観る者に星野の刑事としてのプロフェッショナルぶりを痛感させる。

本作の主人公・秋月を演じる三上が表現する、すべてを失った中で犯罪に手を染めていく男の悲哀や、その裏に隠された真摯な思いなど、ヒューマンドラマとしての側面も持つ本作。驚愕のどんでん返しが待ち受けるエンターテインメントを、西島の演技に注目しながら堪能してほしい。

文=中村実香

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放送情報

ドラマW 誘拐
放送日時:2023年4月14日(金)21:00~、2023年4月30日(日)1:20~
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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