妻夫木聡桐谷健太らの演技は物語が進むにつれ熱を増す! 240億円の金塊強奪計画を描く「黄金を抱いて翔べ」

(C)2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会

20年以上ぶりに故郷の大阪に帰った弘之は、学生時代の友人・浩二から銀行の地下にある240億円の金塊を盗む計画を持ちかけられる。やがて2人は計画に必要なエキスパートたちを集め、総勢6人の強奪チームを結成して、この無謀な犯罪に挑むことに。作戦を実行に移すまでにさまざまなトラブルに巻き込まれていく6人の男たちを演じる俳優陣の演技は後半に向かうにつれて熱を増していき、物語も意外な方向へと傾き始めることに...。

4月13日からスタートする「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」で主演を務め、刑事を演じる桐谷は、本作では一転、アウトローな役柄の男たちの一員を演じている。スーツにネクタイを身にまとい、強奪チームの中でも少し浮いているクセのあるキャラクターを演じている。今回はそんな桐谷と、主演の妻夫木の演技にフォーカスを当ててみたい。

■虚無と渇きを抱えた弘之を妻夫木が迫真の演技で魅せる

銀行強盗を描く映画と言うとある種の"爽快感"を想像する人も多いと思うが、本作にはカラッとした質感はなく、むしろ汗ばむような湿気が感じられる。6人の中でクレイジーでギラギラしているのはリーダーの浩二のみで、「人間がいる土地は嫌いだ」という考えを持つ弘之は、「金塊を手に入れて豪勢に暮らしたい」というよりは「ここではないどこかに行きたい」と思っているような人物だ。国から追われる中、やむなく実の兄を殺害しなければならなかったモモとの間にやがて絆が生まれるのも、モモと弘之、2人がそれぞれ抱えている孤独が引き合ったからではないかと想像させられる。命知らずの衝動を感じさせる妻夫木の迫真の演技は、銀行に潜入してからが特に凄まじい。1970年代の米国映画を愛する監督らしい、当時の米国の犯罪アクションと日本映画を融合させたような世界観の中で、ハードボイルドの象徴的な役柄を演じきっている。

■桐谷が演じるのは途中からは作戦にしり込みしてしまうシステムエンジニア

6人の男たちの中で唯一、関西弁でノリが軽いのが桐谷演じる野田。深く考えずに計画に賛同するが、危機感が薄く、仲間と映画を観に行った時も1人だけ巨大なポップコーンとコーラを持ってのんきに楽しんでいる。強奪計画の前に次々に起こる物騒な出来事を目の前にやっと腰がひけた野田が、弘之に「しょせん会社員だ」と言われて「あんた、やっぱり別世界の人間や」と言うシーンも印象的だ。計画実行前にトイレで気合いを入れたり、緊迫感溢れる事態の中でも笑わせてくれたりするポジションの野田。井筒監督の「パッチギ!」「ゲロッパ!」にも出演しているだけあって、本作でも良い味を出している。妻夫木、桐谷のみならず、男たちの個性溢れる演技と存在感が本作の見どころだ。

文=山本弘子

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放送情報

黄金を抱いて翔べ
放送日時:2023年4月20日(木)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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