望緒は秀一からの頼みもあって、地元で開かれる同窓会で受付を担当することに。真面目で眼鏡っ娘だった本田玲子(本仮屋ユイカ)、男子を惹き付ける華やかな性格の岩崎奈々江(新川優愛)、世話好きだった野瀬優美(黒川智花)、ぶっきらぼうな生徒だった深沢稜(溝端淳平)ら、当時の仲間たちとも再会を果たす。
波瑠の演技からは、おとなしめであまり自分を出さない望緒の性格がよく伝わってくる。玲子に「雨宮くんのこと好きだったんでしょ?」と突っ込まれた時には慌てつつも「バレてる?」といった笑顔を見せ、秀一に受付を頼まれたことで抱いた淡い期待が砕かれるシーンでは、「ああ...」という声が聞こえてきそうな表情となる。
また、皆で掘り起こしたタイムカプセルから出てきた秀一の携帯を「私が渡しとく」と奈々江が宣言した時には、ほんの一瞬顔がひきつるなど、細かい演技も駆使して望緒の心情を伝えてくれる。
秀一を演じる林の演技も秀逸だ。爽やかな雰囲気を漂わせ、笑顔にも声にも曇りがない。望緒と2人で食事をするシーンでは真摯に望緒の話を聞き、「みんなに嘘をついてた」という望緒を優しい表情と声で慰める。まさに、パーフェクトな好青年だ。
再会した後、ゆっくりと惹かれ合う2人の仲を邪魔するように、最初の悲劇が起こる。奈々江が橋から転落し、死亡してしまうのだ。
自殺か、他殺か。他殺ならば誰がやったのか?この事件を発端に、それぞれが仲間についていた嘘、隠していた過去が少しずつ明らかになっていく。奈々江の死の謎、それぞれが抱えていた心の闇、忘れ去られた同級生の存在。物語が進むたびに複雑に謎が絡み合い、1つ解けてもまた新たな謎が現れる。
多くの謎が進行していく中で、秀一と望緒の距離も縮まっていく。秀一に懸けられた疑いが晴れた後の温かなシーンや、秀一が望緒の頬を指で突くシーンなど、2人の心が寄っていく様を示すごく自然な演技も、この作品の注目ポイントといえるだろう。
そして、そんな2人が物語の中心にいるからこそ、物語と2人が迎える結末が気になってしまう。仲間の玲子や深沢も含め、若き日々をともに過ごした望緒たちをどんなラストが待ち受けるのか。波瑠と林の演技はもちろん、絡み合う謎とスリルに満ちた物語をぜひ最後まで堪能してほしい。
文=堀慎二郎
放送情報
愛しい嘘~優しい闇~
放送日時:2023年4月7日(金)21:00~
※第2話以降は毎週金曜日20:00~2話連続放送
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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