香取市を活性化させるための会議で、プレゼンをする小林(北川)の企画に総務課の池本主任(中井)の部下・木下(松山)が茶々を入れたことで2人は小林に睨まれ、「総務課として何か対案がおありですか?」と迫られる。能面のような厳しい顔で近寄ってくる小林にタジタジになる池本だったが、絶対に許してもらえそうもない空気に押されて提案したのは、自身が尊敬している伊能忠敬を主人公にして大河ドラマを制作する、という企画。お調子者の木下は、地元では伊能忠敬が"ちゅうけいさん"の愛称で呼ばれていることも知らず、「ちゅうけいさんって誰ですか?」と全くピンときていないのだが、池本の企画は知事に気に入られ、総務課の凸凹コンビは"大河への道"に向けて脚本家の家を訪ねたりと、奔走することになる。髪を束ねたパンツスーツ姿の小林は冗談が通じなそうな堅物タイプ。上から目線で池本をやり込める北川の演技に注目だ。
■着物姿も艶やかな良い女・エイを魅力的に演じる
大河ドラマ「平清盛」以来の共演となった中井と松山の本作での息の合ったやりとりに何度も吹き出したという北川。そんな北川は、江戸時代のシーンでは鮮やかな色の着物姿で登場。大輪の花が咲いたように美しいエイは実在の人物で、伊能忠敬の最後の妻であり、知的な女性で、突然、家を出て行ったという過去を持つ女性。
日本地図が完成する前に実は伊能は亡くなっていたため、伊能の弟子たちは先生と慕う伊能のために情熱を傾け、命を賭けて地図制作を継続させることを決意し、隠密作戦に取り組んでいく。そこでエイは伊能の壮大なロマンと弟子たちの思いを実現させるために機転を利かせ、天文学者・高橋景保(中井)と助手の又吉(松山) に一芝居を打つ(伊能はそもそも仕事を引退してから天文学を勉強し、景保の父に師事していた)。
騙されたと知って唖然とする高橋に、エイが首をすくめて笑う仕草もチャーミングで、コメディエンヌっぷりも発揮。伊能が生きていることに疑念を抱いている神田(西村まさ彦)を煙に巻く場面では笑わずにいられない。なお、本作には橋爪功、岸井ゆきのも1人2役で出演している。
50歳を過ぎてから日本全国を歩き回り、"歩幅によって距離を測る"という気の遠くなるような測定法で日本地図を形にしていった伊能忠敬にまつわる驚きのエピソードも満載。笑いながら学べて楽しめる歴史発見エンターテインメントムービーに仕上がっている。
文=山本弘子
放送情報
大河への道
放送日時:2023年4月22日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
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