役に合わせて体型まで変えることで知られる鈴木は、筋肉質なボディで懸垂をするなど、本作ではタフなイメージに。難しい医療用語をスラスラと話し、手術シーンではメスを持ったり縫合したりする指先まで吹き替えなしで演じていたというからすごい。武藤淳プロデューサーは「役になるために、勉強も肉体作りも貪欲なまでに極限まで努力する。それは役と作品への愛情で、そこが彼の魅力」と語っている(第109回ザテレビジョンドラマアカデミー賞作品賞受賞インタビュー)。
とにかくキャストの熱演がすごいのだが、毎回、起こる事件が激しすぎて、銃撃戦、爆発なども頻繁にあり、まさに命がけ。思わず「ここは本当に日本ですか?」とツッコミたくもなる。リアルに徹した医療ものというよりは、むしろ戦隊ヒーローもののドクター版のようだ。もちろん、鈴木が演じる喜多見がレッドのポジション。厚生労働省から派遣されたスパイで喜多見を監視する音羽(賀来賢人)がブルーで、佐野勇斗演じるメカニック好きの臨床⼯学技⼠・徳丸はグリーンだ。佐野も役に合わせてガラリとイメージを変えるタイプの俳優で、徳丸を隙がない完璧主義の青年としてリアルに演じている。
コロナ禍の中、自分たちも感染のリスクがありながら治療に当たる医療従事者はまさにヒーロー的存在となった。ドラマ開始時、脚本の黒岩勉が語ったように「こんな時代だからこそ、誰かのために必死に戦うヒーローが見たい」というニーズに応えた本作。もしかすると、"とにかく現場に出て行動する"喜多見は、多くの人が自宅でじっとしているしかなかった状態で最も求められていたヒーロー像だったのかもしれない。
文=小田慶子
放送情報
TOKYO MER〜走る緊急救命室〜
放送日時:2023年4月22日(土)10:00~
TOKYO MER~隅田川ミッション~
放送日時:2023年4月22日(土)20:20~
チャンネル:TBSチャンネル1
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