「映画『おそ松さん』」で分かるSnow Manの人気の秘密！

CEOにアピールすべく自分に足りないところを補おうと動きだした6人。しかし、それぞれの展開ごとにテイストの違う別の物語を紡ぎだしたため、話を本筋に戻すために「物語終わらせ師」たちが、物語の登場人物として現れ、物語を終わらせようと奮闘する、というかなり込み入った展開をみせる。例えば、学歴が必要だと思ったおそ松は図書館で受験勉強に励みだす。すると、図書館で謎の美女・ハル(八木莉可子)と出会い、言葉を交わすようになる。また、チョロ松は街でナンパを繰り返してコミュニケーション能力を養おうとする。そして、いつしかナンバーワンホストに上り詰める...といった具合だ。

恋愛ものやサスペンス、アクション、人間ドラマ、時代劇など、それぞれのテイストを丁寧に描きつつ成立させている英勉監督の攻める姿勢や、画面上の光のアレンジ、一見シンプルな衣装ながら6人それぞれの性格に合わせたジーンズのバリエーション、高級車のナンバーに至るまでのスタッフの微に入り細を穿つこだわりには頭が下がるが、そんな制作スタッフの熱い思いに全力で応えているSnow Manの心意気が素晴らしい。

路上でおしり丸出しになったり、劇中劇を真剣に演じることで映画全体のコメディのコントラストを高めていたり、アクションや殺陣も素晴らしく、葛藤し苦悩する姿では迫真の演技を披露。全員がそれぞれ1シーン1シーン丁寧に向き合い、真摯に取り組んでいる。だからこそ制作スタッフの思いに同じ熱量で応えられ、作品をより面白いものに昇華させているのだ。

一瞬も手も気も抜いていない9人を見ると、おそらく他の現場でもそうなのだろうと感じる。アーティスト、アイドル、バラエティ、モデル、俳優...全ての場面で一生懸命に、全力で取り組んでいるからこそ、見る者は応援したくなるのだ。話題作の実写化という世間の期待に対するプレッシャーも少なくない作品であっただろうが、それを感じさせないどころか、良い意味で予想を裏切った結果を見せてくれた9人をより好きになった人は少なくないはずだ。

ただの"話題作をアイドルグループで実写化した作品"と思うなかれ。コメディに本気で取り組んだ9人が、制作スタッフの熱い思いに見事に応えて作り上げた最高のエンターテインメント作品だ。

「映画『おそ松さん』」は5月7日(日)に日本映画専門チャンネルでテレビ初放送される。ぜひご覧いただき、Snow Manの人気の秘密に触れてほしい。

文＝原田健

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