目にも止まらぬスピードの出世街道!任侠スター・北島三郎を決定付けた『兄弟仁義』シリーズを知っているか?

1960年代にサブちゃんこと北島三郎が主演スターとして活躍していた『兄弟仁義』シリーズ(『兄弟仁義』)
1960年代にサブちゃんこと北島三郎が主演スターとして活躍していた『兄弟仁義』シリーズ(『兄弟仁義』)

デビューから60年以上の芸歴を誇る日本の至宝、サブちゃんこと北島三郎。「与作」、「まつり」など多数のヒット曲を持つ演歌界の大御所だ。そのサブちゃんが、東映任侠映画全盛期の1960年代、高倉健や鶴田浩二に次ぐ人気シリーズの主演スターとして活躍していたことをご存じだろうか。それが『兄弟仁義』シリーズだ。

スカパー!では、本シリーズ全9作のうち、『兄弟仁義』、『続兄弟仁義』、『兄弟仁義 関東三兄弟』(3作共に1966年)、『兄弟仁義 続関東三兄弟』、『兄弟仁義 関東命知らず』(共に1967年)の初期5作を6月に特集放送する。

■鶴田浩二、村田英雄らに後押しされながらヒットした『兄弟仁義』

時代は大正から昭和の初め。サブちゃん演じる流れ者のやくざが、訪れた先で出会った地元のやくざと意気投合し、義兄弟の契りを交わす。その義兄弟が敵対組織の陰謀で危機に陥ると、大物やくざ・鶴田浩二の加勢を得たサブちゃんがドスを手に殴り込み...というのがシリーズの基本パターンだ。

主人公はやくざと言っても、現代の暴力団とはだいぶ違い、男気に溢れた快男児として描かれているのが特徴。ユーモアのあるカラッと陽気なキャラクターには、まだ若手で勢いがあった頃のサブちゃんのやんちゃな魅力が詰まっている。義理と人情に厚いそんなサブちゃんを見ていると、この延長線上には後の『男はつらいよ』の寅さんがいるのでは...とすら思えてくる。もちろん、自慢の喉もばっちり披露。

シリーズとはいえ、それぞれ役名も設定も異なる独立した作品なので、どこからでも楽しむことができる。だが、第1作から順を追って観ていくことで、「サブちゃんの任侠スター出世物語」という別の面白さが浮かび上がってくる。

鶴田浩二の存在感に押されていた第1作からしだいに主演としての貫禄を身につけていくサブちゃん(『兄弟仁義 関東三兄弟』)
鶴田浩二の存在感に押されていた第1作からしだいに主演としての貫禄を身につけていくサブちゃん(『兄弟仁義 関東三兄弟』)

(C)東映

誕生のきっかけは1965年、歌手として売り出し中だったサブちゃんが「親の血を引く 兄弟よりも かたいちぎりの 義兄弟」と歌った「兄弟仁義」のヒットだった。東映の任侠映画を支えた大プロデューサー・俊藤浩滋は、自ら手掛けた『関東流れ者』(1965年)の挿入歌だったこの歌を気に入り、映画化を企画する。そのまま主題歌になったのは言うまでもない。しかし、俳優・サブちゃんの実力はまだまだ未知数。そこで、周りを事務所の先輩・村田英雄、大スターの鶴田が固める盤石の布陣で挑むこととなった(村田はサブちゃんを助ける親分役。風格ある佇まいがいい)。


その甲斐あって第1作『兄弟仁義』は、1966年4月に高倉健主演の『網走番外地 荒野の対決』と二本立て公開されると大ヒット。すぐにシリーズ化が決定する。ただし、これはモノクロ映画で、ヒットの要因も鶴田人気に負うところが大きかった。ところが、長い下積み生活を経験し、苦労を知るサブちゃんは、それで諦める男ではなかった。ここから、豊臣秀吉もビックリの出世物語が幕を開ける。

主演ではあるものの、おいしいところは鶴田に持って行かれていたシリーズ第1作『兄弟仁義』
主演ではあるものの、おいしいところは鶴田に持って行かれていたシリーズ第1作『兄弟仁義』

(C)東映

4か月後に公開された第2作『続兄弟仁義』では、まずクライマックスの大立ち回りにおける扱いが変わる。前作ではサブちゃんが敵の組に殴り込んだ後、鶴田が改めて殴り込んでカタをつける二段構え。相手が大スターとはいえ、大トリを取られてしまっては、主演の面目丸つぶれだ。だが、前作のヒットで東映が気をよくしたのか、今回は鶴田と一緒の殴り込みに格上げ。映像もカラーに変わり、スクリーン映えがグッとよくなる。

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放送情報

兄弟仁義
放送日時:2023年6月19日(月)12:00~
続兄弟仁義
放送日時:2023年6月19日(月)13:30~
兄弟仁義 関東三兄弟
放送日時:2023年6月20日(火)12:00~
兄弟仁義 続関東三兄弟
放送日時:2023年6月20日(火)13:30~
兄弟仁義 関東命知らず
放送日時:2023年6月21日(水)12:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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