1977年に公開された映画「ジャイアンツのこども野球教室」は、東映まんがまつりで上映された児童向け映画である。24分という短編であるが、読売巨人軍の全面協力のもとで、長嶋茂雄監督はじめ当時のジャイアンツの主力選手が登場する、コアな野球ファンにはたまらない作品となっている。
公開当時は、長嶋監督就任が3年目を迎えるシーズンの直前にあたり、まさかの最下位に終わった前年のリベンジを見事に果たし、リーグ優勝を果たしたシーズンのオフというタイミング。長嶋巨人の人気は絶大なものがあり、ホームラン世界記録に挑む王貞治を中心に、日本ハムから移籍して大活躍を果たし、長嶋巨人V1の原動力となった張本勲、外野からサードへの華麗なコンバートが成功し、打線の要となった高田繁らが打線の要。投手陣ではエースの堀内恒夫が大黒柱だった。本作には、そんなジャイアンツの選手たちが出演し、少年チームの子供たちに直接指導をするストーリー仕立てになっている。
「出ると負け」の弱小チーム「リトルジャイアンツ」の子供が、強くなりたい一心で長嶋監督に手紙を出し、巨人軍の選手たちが特別に指導してくれることになるというストーリー。舞台となるのは、昭和の野球ファンにはおなじみのジャイアンツの練習場である「多摩川グラウンド」。「リトルジャイアンツ」の子どもたちは、ここで巨人軍の現役選手たちから指導を受ける。メインで登場するのは、長嶋茂雄監督をはじめ、王貞治、張本勲、堀内恒夫、高田繁に加えて、守備の名手と称された名二塁手の土井正三といった顔ぶれ。
子どもたちが王、張本と共にランニングする場面からスタート。王選手が「道具を大事にしなくちゃいけないよ」と子供たちに諭すシーンが印象的だ。高田と土井は野球の基本であるキャッチボールの指導を行う。堀内はもちろんピッチングの指導。投手の子供に投球フォームや握りの指導を丁寧に行う。ストーリー仕立てにはなっているが、このあたりの野球の指導は実戦的で役に立つもので、「当時の野球少年たちが映画館で夢中になって見たのだろうな」などと想像すると楽しい。
さらに土井から守備の指導を受けて高田にノックしてもらい、王&張本が打撃指導を行う場面へと続く。長嶋監督も登場し、「プロ野球の選手でも基本をいかに大切にしているか」とか、「野球だけでなく、学校の勉強もしっかり頑張って立派な大人になろう」という訓話があったりして、子供向けの教育映画としても楽しめる内容だ。自分に自信が持てず、ネガティブな発言をする子供に対し、熱い言葉でエールを贈る若き長嶋監督の姿にも感動できる。
放送情報
ジャイアンツのこども野球教室
放送日時: 2023年9月5日(火)20:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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