自然体の松雪泰子が歴史と織り合わさる旅をする映画「この空の花 長岡花火物語」

©「長岡映画」製作委員会 PSC 2011

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主人公の新聞記者・玲子は、松雪泰子が演じた。1991年に女優デビューして以来、数々のドラマや映画に出演してきた松雪。強く美しいダンス教師を熱演した映画「フラガール」(2006年)や薄幸のヒロインに扮した「容疑者Xの献身」(2008年)など、作品ごとに全く異なるキャラクターを演じ分ける実力派として知られる。大ヒットドラマ「Mother」(2010年)では、虐待を受ける少女を誘拐し母親になろうとする小学校教師を演じ、子役の芦田愛菜とともに日本中の涙を誘った。

本作では、旅の夢の中へと誘われていく女性記者を自然体で演じている。取材を続けるうちに、知られざる戦争の痛みや花火大会に込められた想いを知っていく。人々の言葉に真摯に耳を傾け、その想いを受け止め、自身の心とも向き合う玲子。甚大な戦禍や災害を乗り越えてきた長岡の町を、静かに真っ直ぐ見つめている。松雪の慈愛に満ちた瞳や甘く穏やかな声が、大林監督流の不思議な物語の世界を優しく案内してくれているようだ。決意を新たにした微笑みは凛として美しく、爽やかな余韻を残した。

市井の人々の勇気と祈りで平和を作り、何度でも蘇り復興を遂げてきた町・長岡。本作のほとんどの登場人物は歴史の中の実在の人物で、歴史的事実が革新的なセミドキュメンタリータッチの劇映画として綴られていく。夜空を彩る美しい花火に込められた過去・現在・未来を繋ぐ想いから、平和とは何かを深く考える松雪の表情にも注目の作品だ。

文=中川菜都美

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放送情報

この空の花 長岡花火物語
放送日時:10月11日(水)10:15~ほか
放送チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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