初のタイトル戦は第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負(2020年6~7月)で、相手は渡辺明棋聖。タイトル戦デビューとなる第1局で相矢倉の名局を制すると、第3局で研究負けをしたものの、全体的には中終盤でねじ伏せる形で制勝。3勝1敗として第一人者の渡辺に充実した内容で勝ち、史上最年少でタイトルを奪取した。
続くタイトル戦は第61期王位戦七番勝負(2020年7~8月)で、相手は前年に史上最年長の初タイトルを獲得した木村一基王位。最年少対最年長の対比となる、30歳差でのタイトル戦となった。第2局でかなり苦しい将棋を逆転したのが大きく、結果は4連勝で奪取。初タイトルから1ヶ月余りで二冠となった。
三冠目の挑戦は第6期叡王戦五番勝負(2021年7~9月)で、相手は豊島将之叡王。この時豊島は王位戦で挑戦者になっており、立場が異なるダブルタイトル戦だった(王位戦は藤井が4勝1敗で防衛)。このシリーズは互いに先手番を取り合いフルセットへ。最終局で先手となった藤井が奪取したが、八冠までのタイトル戦で唯一フルセットとなったシリーズだ。最後の振り駒で先手を取れたのは運も味方したと言える。
四冠目は直後の第34期竜王戦七番勝負(2021年10~11月)で、こちらも相手は豊島将之竜王。難解な将棋ばかりだったが、終わってみれば4連勝と圧倒。初手合から苦戦を強いられていた豊島相手に王位戦、叡王戦、竜王戦と番勝負で3連勝。棋界の頂点である竜王を奪取して四冠となり、10代にして第一人者となった。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
第71期 王座戦 五番勝負 第1局 永瀬拓矢王座 vs 藤井聡太竜王・名人
放送日時:11月13日(月)13:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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