西島秀俊内野聖陽が劇場版「きのう何食べた?」で見せる、ナチュラルな演技で描く恋人同士の絆

(C)2021 劇場版「きのう何食べた?」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社

京都の名所を巡る中で、あまりの幸せぶりに「シロさんが何か企んでいるのでは」と疑心暗鬼になるケンジを情感たっぷりなモノローグと、豊かな表情で体現する内野。ロマンチックな夜の高台寺での散策中、「シロさんが重い病気に冒され、最後の思い出づくりにやってきたのでは!?」と妄想をたくましくするケンジは、思わず階段につまずいてしまう。そんなケンジに手を差し伸べ、「手、離すなよ」とシロさんが優しく微笑んだ後からは、BGMとして流れる歌舞伎のお囃子に合わせたカメラワークと内野の迫真の演技が相まった、遊び心満載のシーンとなっている。

宿に戻ったあと、涙ながらに本当のことを答えてと詰め寄るケンジに、シロさんが真剣な面持ちで「謝らなければいけないのは俺の方なんだ」と切り出すと、ケンジは叫びながら「別れ話なら帰りの車中でしてぇ!」と懇願。感情を抑えた西島の演技と、内野のダイナミック&乙女な叫び声とオーバーアクションがぶつかる様子は、実力派俳優同士の演技合戦としても味わい深いものとなっている。

今回の旅行が、正月休みに2人でシロさんの実家に行けないことに対する罪滅ぼしだと知ったことで安心したケンジは、ちょっと重くなった空気を変えるために、シロさんに浴衣に着替えることを提案。その際の2人のわちゃわちゃした空気感でみせる西島と内野のナチュラルなやりとりは「アドリブなのでは」と思ってしまうほど自然体だ。

そして、ドラマでも大好評だった自撮り風オープニング映像は劇場版でも取り入れられ、京都ならではの食べ歩きを満喫する2人の姿が映し出される。そこでの西島と内野も、演技とは到底思えないリラックスした表情で、観る者を「何食べ」ワールドへと引き込んでいく。
シロさんを演じる西島は、作品の重要ポイントでもある料理シーンで見事な包丁さばきを披露するなど、本作でも大活躍。普段はクールなシロさんだが、ケンジを元気づけるために「キャラメルリンゴのトースト」を作る場面では、明るい声と楽しげな表情で料理に向き合う。その後、ケンジがバニラアイスクリームとシナモンパウダーでアレンジを加えたトーストを幸せそうにほおばる様子を見つめる時に西島が浮かべる微笑みからは、「ケンジが喜んでくれて良かった」という安堵など、さまざまな感情を読み取ることができるはずだ。

親との関係を発端に、「家族」について深く考えていく恋人同士の姿を描く、シリーズ初の劇場版。互いに「愛している」といったわかりやすい言葉は言わないものの、相手に向ける笑顔や温かなまなざしを通して、シロさんとケンジが強く結ばれていることを圧倒的な演技力で表現した西島と内野が紡ぐハートウォーミング・ドラマに、心ゆくまで癒されてほしい。

文=中村実香

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放送情報

劇場版「きのう何食べた?」
放送日時:2023年12月16日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

放送日時:2023年12月17日(日)23:00~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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